マーシャル諸島が核保有国を提訴 核兵器廃絶実現に向けて意義学ぶ
2015年はNPT再検討会議の年である。NPTは「核兵器の不拡散に関する条約」であり、1968年採択、70年3月に発効した国際条約である。核兵器保有国(アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国)を含む世界190カ国が加盟し、日本も70年に署名、76年に批准した。本来、NPT体制には当時の核兵器保有国が非保有国に対し、核兵器開発・保有を行わせないための条約という側面が強い。しかし一方で条約第6条には「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」(外務省訳)とあり、核兵器保有国に対する軍備縮小を義務づけている。条約発効後、核兵器のない世界を求める人々の声と運動が世界のリーダーを動かし、核弾頭が実際に削減されてきたことは、NPT自体が核兵器廃絶の実現に向けた運動にとって、最大の焦点であることを示す。核兵器廃絶を目指す自治体首長の世界組織である「平和首長会議」(会長は広島市長。世界で6276都市が加盟、京都府内でも22市町村が加盟)も、「2020ビジョン」を提唱し、IPPNW(核戦争防止国際医師会議)などのNGO等と連携しNPTを梃子に2020年までの核兵器廃絶を求めるキャンペーンを展開して、核兵器禁止条約の実現を目指す国際世論の醸成を目指している。
君島・立命教授が講演
NPT再検討会議に向け、反核京都医師の会や京都府保険医協会も加盟する実行委員会(核兵器廃絶京都アクション2015)が結成され、講演会やアピール活動が取り組まれている。11月13日には、前広島平和文化センター理事長のスティーブン・リーパー氏講演会を龍谷大学の響都ホールで開催予定である。同実行委員会はプレ講演会として、9月11日に立命館大学教授の君島東彦氏を講師に核問題学習会を開催、40人が参加した。講演した君島氏は、マーシャル諸島共和国(RMI)が国際司法裁判所に対し、五つの核保有国と新たな核保有4カ国(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)を国際法違反として提訴した意義、核兵器廃絶実現に向けての課題を、多様な映像やデータを駆使し、国際的な視野から提起した同国の提訴をどのように支援するかが重要と強調した。
参加者からは、マーシャル諸島の人々は核実験の犠牲者であり、その勇気に対する驚きと評価が述べられた。また、なぜヒロシマ・ナガサキのある日本政府は同様の行動を行えず、相変わらず「核抑止力論」に依存しているのかと、政府の態度を批判する声もあがった。