ベラルーシの“いま”を福島の未来に 鎌仲ひとみ氏講演会を開催
ドキュメンタリー映画「六ヶ所村ラプソディ―」「内部被ばくを生き抜く」などの作品で知られる鎌仲ひとみ監督を講師に、12月15日、「鎌仲ひとみさんと考える『子どもたちの未来のために 私たちができること』」と題した講演会とワークショップを開催。67人が参加した。避難者ネットワークの一つである内部被曝から子どもを守る会・関西とIPPNW京都府支部、京都府歯科保険医協会、京都府保険医協会の4団体で共催した。
少しでも被ばくから子どもたちを守りたい
鎌仲氏の新作「小さき声のカノン」(2014年秋公開予定)は、東日本大震災後かつてない放射能汚染から子どもたちを守ろうとする母親たちの声に耳を傾けてほしいとの思いで制作されている。その取材で、福島県をはじめ、チェルノブイリ事故から27年が経過したベラルーシを訪れたとのことで、第1部は講演会「鎌仲さんに聞きたい!『ベラルーシのいまを 福島の未来に!』」と題した講演をきいた。
日本では、空間線量のみを問題視しているが、ベラルーシでは(1)土壌汚染(2)空間線量(3)内部被ばく量―の合計が年間5mSvを超えると強制移住となる。1〜5mSv以内の場合は移住するか、その場に残るかの判断は個人に委ねられるが、どちらを選択してもしっかりと補償が行われていると述べた。
また、事故後100年間影響が続くと予測するベラルーシの専門家のインタビューを紹介。チェルノブイリ原発から300?離れたピンスクでも、年2回の甲状腺エコーが実施されている。甲状腺は、がんだけでなく、機能低下の問題もある。母となる女性が機能低下症になると、胎児の甲状腺機能にも影響が出てくる。次世代に問題を持ち越さないためにも、適切な時期に診断し、治療する必要があり、ベラルーシのこの姿勢を日本も学ぶべきであるとした。
今の福島県民健康管理調査や支援法の基本方針など、ありとあらゆる対策が「限定的」であり、政府が被ばくの影響を過小評価しようとしていることを指摘。日本で子どもたちを守るためには、正しい情報を公開することが必要だと訴えた。
抱えた思い話せる場を
第2部は、福島第一原発事故以降の子どもたちの健康について、市民と医療者とで対話する場を設けようと対話型ワークショップを行った。
リラックスした雰囲気で始めるため、ストレッチから始まり、参加者4人と医療関係者で1グループとし、対話を行った。テーマはそれぞれが決定し、自由に話し合った。少人数ということで、テーマが多岐にわたり、どのグループも盛り上がった。
対話時間終了後に各グループで話し合われたことを報告。参加者全員で問題を共有した。最後に、参加者がワークショップで心に残ったひとことを書き記した。下記は、その抜粋である。
「私たちはどこに向かっていけばいいのか」「何を信じていいかわからない」
「真実を広げる」「たくましく生きる力」「新しい時代のネットワークをつくる」
「保養制度を充実させよう」「子どもたちの健診を継続的に!」「希望」