プラス改定で収支は改善傾向/10年介護事業経営概況調査  PDF

プラス改定で収支は改善傾向/10年介護事業経営概況調査

 厚生労働省は12月20日の社会保障審議会・介護給付費分科会調査実施委員会に「2010年介護事業経営概況調査結果」を報告した。3%プラスとなった09年度の介護報酬改定の影響で、15種類の介護サービスのうち「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」など13種類で収入が支出を上回り、15種類のうち8種類にとどまっていた07年調査と比べて収支状況が改善した。厚労省は「09年度介護報酬改定などによる収入の増加が影響していることが考えられる」としている。

 次期介護報酬改定の基礎資料を得ることを目的に、10年7月に約1万施設・事業所を対象に09年(度)1カ月平均の収支状況などを調査。約3900件の有効回答を得た。

 サービスごとに収支状況を見ると、介護老人保健施設の利用者1人当たりの収入は1日平均1万3750円、支出は1万2972円で、収支差率は5.7%。介護老人福祉施設では収入1万2462円、支出1万1123円(収支差率10.7%)、介護療養型医療施設では収入1万8151円、支出1万6081円(同11.4%)だった。

 在宅サービスでは、訪問看護が収入8957円で支出8418円(収支差率6.0%)、通所リハビリテーションが収入9549円で支出9290円(同2.7%)だった。一方、居宅介護支援では収支差率マイナス5.3%、短期入所生活介護では収支差率マイナス0.7%だった。

 厚労省が07年に実施した概況調査では、訪問看護や居宅介護支援など7種類のサービスで収支差率がマイナスだった。ただ、10年概況調査は07年の調査とは調査方法が異なり客体数が増えたほか、サービスによって有効回答率が2割に満たないなど回答率にバラツキも見られるため、委員会では、慎重に分析する必要があるとの意見もあった。

 厚労省は11年4月に調査対象を約3万3000施設に拡大して「介護事業経営実態調査」を実施する予定で、実態調査の結果も踏まえて分析を行う必要があるとしている。実態調査の結果は11年秋に公表予定。

●介護職給与、前年比1万5160円改善
 介護職員の処遇改善では、10年7月1日時点の介護職員の平均給与額が09年に比べ1万5160円増加した。平均給与額は25万6680円。「給与等を引き上げた」との回答は、介護老人福祉施設が91.8%で最も多く、最も少なかったのは居宅介護支援事業所の60.2%だった。

 給与等の引き上げ方法については、62.7%の施設が「定期昇給を実施(予定)」と回答。続いて「各種手当の引き上げまたは新設」が44.6%、「賞与等の支給金額の引き上げまたは新設(予定)」は21.8%、「給与表を改定して賃金水準を引き上げた(予定)」が15.1%だった。厚労省は、定期昇給、給与表の見直しの実施は評価できるとの認識を示した上で「09年調査で分かった平均9000円の増は介護報酬3%プラス改定が大きく、今回は交付金の効果が比較的、大きいのではないか」(宇都宮啓老人保健課長)とした。(12/21MEDIFAXより)

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