ビジョン具体化で中間取りまとめ案/09年度予算編成に反映
厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン具体化に関する検討会」が8月27日に開かれ、中間取りまとめ案の議論を終えた。内容の変更にまで至る指摘はなく、最終的な中間取りまとめは同日の議論を踏まえた字句修正後に固まる見通しとなった。
中間取りまとめ案は7回にわたる同検討会での議論を踏まえ、(1)医師養成数、(2)医師の偏在と教育、(3)コメディカルらの専門性の発揮とチーム医療、(4)地域医療・救急医療体制支援、(5)患者・住民の参画─で構成されている。
医師養成数については、2009年度は少なくとも過去最大の医学部定員である8360人程度を目指すべきと提言。また、OECDの人口10万人当たりの平均医師数が日本の約1.5倍に相当することを考慮し、将来的には50%程度の増加を目指すべきとの考えも盛り込んだ。ただ「医学部教育・地域医療に支障を来さない」との注文も付けた。
医師不足については診療科と地域の「2つの偏在」で深刻さを増していると指摘。偏在の問題にも的確に取り組む必要性を強調するとともに、医師に魅力あるインセンティブを付与するため、外科などの医師の技術を適切に評価するドクターフィーについて検討することを求めた。
また、地域医療に言及する中で、診療所医師が病院での診療に携わることを念頭に、病院でのホスピタルフィーとドクターフィーを区別する必要性を指摘した。
専門医としての総合医・家庭医の養成にも言及。ほかの専門医が総合医・家庭医となって地域医療を担うようなキャリアパスや、再教育プログラムの必要性を指摘した。また、初期臨床研修や後期臨床研修を含む専門医トレーニングの在り方の見直しを提言。さらに文科省・厚労省が合同で臨床研修制度の在り方について議論する検討会の設置を求めた。
コメディカルの増加についても言及し、チーム医療を前提に他職種に業務を担わせるスキルミックスを進めることを提言。院内メディエーターの活用も検討課題に挙げた。さらに4年生大学への移行も視野に看護基礎教育の充実を求めた。(8/28MEDIFAXより)