ヒト幹細胞用いた治療法、初の保険併用へ/高度医療評価会議  PDF

ヒト幹細胞用いた治療法、初の保険併用へ/高度医療評価会議

 厚生労働省の高度医療評価会議(座長=猿田享男・慶応大名誉教授)は7月13日の会合で、名古屋大医学部付属病院が申請した「軟骨無形成症等骨系統疾患に伴う低身長症例および下肢長不等症例に対する培養骨髄細胞移植の併用による骨延長術併用療法」を、高度医療として適当であると認めた。先進医療専門家会議で承認されれば「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に基づく保険併用の第1例目となる。関係者は今後のヒト幹細胞研究を後押しする決定と期待しており、厚労省も薬事承認に向けた積極的支援の意向を示した。

 同技術の審査で主担当を務めた北里大薬学部臨床医学(臨床統計学・医薬開発学)の竹内正弘教授は「基礎化学、技術、倫理の面で問題ない」と述べた。研究計画書(プロトコル)についても「非常にクリア」と評価した。

●再生医療の参考モデルに
 この日の会合では、ヒト幹細胞を用いた再生医療の保険医療化を進めていく上で同技術が一つの参考モデルになると指摘する声が多数上がった。厚労省医政局研究開発振興課も「PMDAが7月1日に新設した薬事戦略相談なども活用しながら、実用化の道を積極的に支援してまいりたい」と応じた。 ヒト幹細胞を用いた治療法では、既に重症やけど治療用の自家培養表皮が保険適用され、培養軟骨が保険適用申請中。今回、名古屋大が申請した技術は、厚労省が2006年に策定した「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に基づく制度で、厚生科学審議会・科学技術部会「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」の審査を通った第1例目だ。

●審査のシームレス化も検討
 一方、今後のヒト幹細胞を用いた治療法の実用化に向けた審査の効率化について、委員から指摘があった。同技術の評価委員を務めた松山晃文技術委員(先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループリーダー)は「シームレスな展開を考えると(ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会と高度医療の)2回の審査で少なくとも半年か1年止まってしまう」と話し検討を促した。医政局研究開発振興課は、高度医療評価会議が申請書の信頼性などをモニタリングする機能として重要な役割を果たしているとした上で「どのような形が一番シームレスにいくか検討したい」とした。本紙の取材に対しては「二重審査のようなことがないように、調査項目の重複があるかどうかなども調べる」と説明した。(7/14MEDIFAXより)

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