パート労働者への健保適用で論点整理/社保審・特別部会
厚生労働省の社会保障審議会「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)が9月21日、厚労省内で開かれ、事務局が提示した特別部会での論点や適用拡大の考え方などについて議論した。
事務局は厚生年金・健康保険の適用対象者の範囲について▽適用基準を雇用保険と同様に「週の労働時間20時間」とするか▽雇用保険の適用要件「31日以上の雇用見込み」をどう考えるか―などの論点についてたたき台を示した。出席委員からは検討材料となる財政影響についての資料を提出するよう事務局に求める声が相次いだ。
また、適用拡大についての考え方を整理し▽被用者には、被用者にふさわしい年金・医療保険を確保すべきではないか▽社会保険制度で、働かない人が有利になるような壁を除去し、就労促進型(少なくとも中立なもの)に転換すべきではないか▽企業の社会保険料負担を業種や雇用形態で異ならない公平なものにすべきではないか―とした。整理については「後付け的な感じで、なかなか納得できない」として現実的な財源不足の問題についても触れるべきではないかとの意見も出たが、多くの出席委員は賛意を示した。
会合の冒頭には小宮山洋子厚生労働相が出席し、社会保障・税一体改革は野田内閣での実現は最重要課題であるとの位置付けを示した。
●健保全体で2460億円のマイナス
社会保障・税一体改革成案では、雇用保険ベースの試算により適用拡大で約400万人が新たに厚生年金・健康保険の対象になるとしている。これに対し、健康保険組合連合会理事の霜鳥一彦委員は健康保険の対象者は約477万人に増加するとの調査結果を示した。適用拡大で保険料収入が約3200億円増えるものの、医療給付費約3800億円などの増加により健康保険制度全体では約2460億円のマイナスになるとの推計を示した。
また、新たな事業主負担は推計で約2830億円とし、企業アンケートでは約6割の企業が適用拡大に反対だと紹介した。(9/22MEDIFAXより)