バイバイ原発きょうと講演会
原発依存を断ち切るために電力自由化で私たちができること
協会は、バイバイ原発3・12きょうとと同日の3月12日、集会でも講演いただいた関西学院大学総合政策学部教授の朴勝俊氏を講師に迎え、関連企画講演会を開催。参加者は定員を上回る83人となった。
講演で、朴氏は「安全性こそが経済性」として、大飯原発差し止め仮処分を巡る地裁判断や原子力規制委員会、総理大臣も安全性を保証しないことなどを紹介。なによりも過酷事故発生時の経済的損失は460〜900兆円になると指摘し、これだけのリスクを負う原発に経済性などまったくないと断じた。
また、原発が稼働しないことをもって「3・7兆円の国富流出」と言われているが、計算上、電気代を1円/kWh下げるには、8基半の原発をフル稼働しないといけないことになる。一昨年後半から原油価格が下落しているので、正しくは17基の再稼働が必要との試算が出た。このことからも、朴氏は原発に経済性があるとは言えないとした。
2016年春から電力小売が全面自由化され、誰もが電力小売会社を選べるようになる(ガス自由化は翌年)。発送電分離は2020年頃が目指されている。しかしながら、既存原発の燃料費は安い。そのため、電力自由化で原発への新規投資(新規建設、大幅な改修工事)は阻まれるが、残念ながら既存原発は運転を続けることになるだろうとの見解を述べた。また、電力会社は独占を認められている一方で料金が規制されているが、電力自由化になればその規制はなくなる。電気料金は需要と供給の動向によって決まることになり、現状より価格低下となるかどうかは今の時点で判然としないとした。
しかし、ドイツの電気料金の半分は、エネルギーシフトのための税金や負担金などであることを紹介。少々割高な電気料金であっても、エネルギーシフトを支える仕組みだという市民の合意がある。日本でも市民の合意があれば、再生可能エネルギーにシフトするための支えの仕組みは作れると強調。朴氏は、我々自身がどの会社がどういったスタンスで電力を供給しているかなどを見極め、選択する必要があると締めくくった。