ハイリスク加算やDPCで課題を指摘/中医協でヒアリング
中医協・診療報酬基本問題小委員会は11月6日、診療報酬改定に向けた審議の中では初の試みとなる医療現場関係者からのヒアリングを行った。産科、新生児科、救急、小児救急の各分野の代表者らは、周産期・救急をめぐる医師不足や慢性的な赤字体質の現状を訴えた上で、「ハイリスク分娩管理加算」やDPCなど現行の診療報酬上の課題も指摘。次期診療報酬改定に向け、新たな算定項目の設置や算定要件の拡大など実態に即した改定を求める声が上がった。
「勤務環境確保加算」の新設を/北里大・海野氏
北里大医学部産婦人科学の海野信也教授は、分娩施設や産婦人科医数の減少の背景として勤務の過酷さを指摘。適正な医師の勤務状況を評価するため、産科であれば帝王切開術の件数に応じて加算する「勤務環境確保加算」の新設を求めた。
また、前回改定で「ハイリスク分娩管理加算」の算定要件に勤務医の勤務時間把握が盛り込まれたことについて「実際の労働時間を把握すると、労働基準法に触れるために算定を躊躇する医療機関が多い」と指摘し、「アクセルとブレーキを同時に踏むような施策は有効とは言えない」と述べた。
救急医療「最低3日は出来高払いに」/杏林大・島崎氏
杏林大医学部救急医学講座の島崎修次教授は、重症救急患者をDPC病院で受け入れる際の初期投資が多く、DPC制度では採算が合わないと指摘。「最低3日は出来高払い」とするよう求めた。
日本救急医学会保険委員会の菅井桂雄委員は、2次救急医療機関を支援するため、救急搬送された患者が軽症であっても救急医療管理加算の算定を可能とすることや、「管制塔機能病院」での受け入れに対する加算などを求めた。
NICU運用効率向上へ支援必要/東京女子医大・楠田氏
東京女子医科大母子総合医療センター新生児部門の楠田聡教授は、ハイリスク児の増加と長期入院児が新生児集中治療管理室(NICU)不足の背景にあると指摘し、NICUの運営を経済的に十分可能にする評価や、NICUから移動する病床、在宅療養中の家族支援など、NICUの効率性向上を促す評価を求めた。(11/9MEDIFAXより)