ニーズ高い医療への配分、総医療費増が必要/
中医協会長の遠藤氏
中医協会長の遠藤久夫・学習院大教授は11月18日、全国自治体病院開設者協議会などが開いた自治体病院全国大会のフォーラムで講演し、公立病院改革を進める上で医療費の増額が必要との認識を示した。さらに、「社会的ニーズの高い医療に対する配分が乏しいという点で(これまでの診療報酬改定による配分は) 非効率だった」と述べ、中医協で配分の適正化に努める意向を示した。
遠藤氏は、現在の公立病院は、民間では不採算とされる機能への期待が高い半面、財政悪化に伴う効率化も求められていると指摘。地域に勤務する医師の確保は「病院あるいは自治体だけの努力だけでは難しい」と述べ、国などによる支援の必要性を指摘した。その上で、高齢化や技術の進歩、医療安全に対する要求の高まりを考慮すると、近年の医療費水準は「危険水域にある」とし、「公立病院改革も医療費増額がなければうまくいかない。結局、ニーズはあるが効率が悪いものを切り捨てることになってしまう」と述べ、総医療費の増額が必要との認識を強調した。
また、勤務医確保に向けて「例えばへき地に置いたサテライトに、一定期間、医師を派遣する仕組みを持つ病院を診療報酬で高く評価するなどの方策はあるかもしれない」と述べた。ただ「個人的には、へき地医療を診療報酬で評価すると、患者の自己負担が高くなるため、適切だと思っていない。本来は補助金でやるべきだろう」と付け加えた。「全国一律」が原則の診療報酬に地域差を付けることについては「今後の課題としては出てくる可能性はある」と述べたが、「地方は医師を集めるためにはコストがかかるが、土地などは安いという問題もある」と課題を指摘するにとどめた。(11/19MEDIFAXより)