スタッフ対策中心に解説 新規開業予定者講習会開く
新規開業を考えている勤務医を対象に、協会は「新規開業予定者のための講習会」を11月8日に開催した。共催は有限会社アミス。第1講目は、「開業までの準備と開業後の損益分岐点・スタッフ対策について〜診療圏調査・事業計画・開業後のケーススタディ・スタッフの雇用と定着対策〜」を株式会社日本医業総研の植村智之氏が講演。第2講目は、ふくみつ内科院長の福光眞二氏より先輩開業医からのアドバイスとして開業時の経験談を話していただいた。
「人材」を「人財」に 人事マネジメントのポイント解説
植村氏は、開業前の準備では開業後の収支のイメージをいかに持てるかがポイントであるとして、具体的に数字で表しながら解説した。スタッフ対策については、開業医は経営者であり、リーダーである。勤務医とは違う立場になるということをしっかりと自覚をすることが重要。院長の心構えは、人は育てるものと考えること。「じんざい」には、クリニックを支え、利益をもたらし、期待される「人財」、教育次第で貢献が期待される「人材」、言われた仕事しかせず、ただいるだけの期待できない「人在」、クリニックに損害を与え、貢献も期待もできない「人罪」がある。組織に6割いると言われる人材をいかに期待できる人財に育てられるか。それが、院長の人事マネジメントのポイントであると説明した。
開業後に大事なのは「ひとを診ること」 先輩開業医からのアドバイス
福光氏は、開業前に勤務していた病院で、感染症、肺がんなど様々な患者を診たことが、開業後に役に立っている。開業場所は診療所が密集した地域で、ビルの5階という場所を選択。ここで開業したら失敗すると誰からも言われた。そんな場所でなぜ開業したのかというと、駅前の地域の中核という場所で、買い物や外出などで地域住民が集まることを、勤務医時代から把握していたからだと語った。
開業後のポイントとして、口コミは何よりも重要だと説明した。勤務医時代の患者が開業当初から来院、さらに口コミで患者が増えた。周囲に医療機関が密集し競合した場所であってもやっていけたのは、口コミの力が大きい。今の時代は、ホームページを検索されるので、ホームページ制作にも力を入れた。また、診察室では、患者の反応をしっかり見て、丁寧に説明をすることも重要である。時間がかかっても続けることで、患者からのクレームも減らすことができるとアドバイスした。自身の経験から、専門性にはこだわらないことも大事だと実感している。勤務医時代にやってきた専門的なことは、開業後は一切していない。大事なのは、ひとを診ることで、病気や臓器を診るのではない。それが開業医・町医者の使命だと思うと強調した。
最後に、経営部会・北村理事より地区医師会への入会および協会共済制度について説明した後、参加者からの個々の質問等に対応し、講習会を終了した。