シーリング「堅持」から「維持」に後退/
09年度予算基本方針を閣議決定
政府は12月3日、臨時閣議で「2009年度予算編成の基本方針」を決定した(資料1)。基本方針の原案では、7月末に閣議了解した09年度予算の概算要求基準(シーリング) を「堅持」するとしていたが、与党との調整の結果、「維持」にトーンダウン。世界の金融資本市場について「100年に一度と言われる危機に陥っている」とも加筆し、景気状況に応じて臨機応変に対応する考え方を盛り込んだ。
閣議決定した基本方針は「社会保障費2200億円削減などの歳出改革路線は、世界経済の悪化を踏まえて一時棚上げすべき」とする自民党をはじめ、与党からの強い意向を受け、原案の記載を大幅に修正した。
年金・医療の経費などに関しては、原案で「新たな安定財源が確保された場合には、その取り扱いを検討する」としていたが、「新たな安定財源の確保について検討する」とし、たばこ税を念頭に置きながら積極的に安定財源を探す考えを盛り込んだ。
11年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB) の黒字化に向けては「目標を達成すべく努力する」としたほか、「国民生活と日本経済を守ることを最優先し、必要な対応を図る」との原案表記をそのまま採用し、努力目標に引き下げた。
中期プログラムの策定については、原案のまま、年末に取りまとめる方針を提示。社会保障安定財源の確保に向けては「消費税を含む税制抜本改革を速やかに開始し、時々の経済状況をにらみつつ、10年代半ばまでに段階的に実行する」とした。
社会保障関係については、産科・小児科をはじめとする医師不足対策や、救急や周産期医療体制の整備、後期高齢者医療制度の見直しなどをあらためて指摘。こうした原案で記載されていた内容のほか、「女性医師の就労支援」や「地域医療・慢性期医療の推進」なども付け加えた。
与謝野馨経済財政担当相は3日の臨時閣議の後に会見し、09年度予算編成の基本方針について「シーリングを『維持』していくことがはっきり書かれている。小泉内閣以来の路線変更ではない」と述べ、歳出削減路線の撤回ではないとした。また、「骨太方針06の精神がそのまま継承されている」との見方も示した。(12/4MEDIFAXより)