シリーズ環境問題を考える(89)

シリーズ環境問題を考える(89)

京都縦貫道説明会に参加して その2

環境対策委員 京都府歯科保険医協会副理事長
秋山和雄

 前出の「環境アセスメントのあらまし」なる1枚のコピーでは、あまりにも簡単すぎて分からない。そこで、アセスメントの原本がほしいと電話すると、それは府庁の土木建築部都市計画課でしか閲覧できない。また、そのコピーも有料とのことであった。納税者の府民の1人としては、はなはだ遺憾な返事である。空出張で府民の税金を裏金として不法に隠し持っている京都府の課もあると聞く。もしそれが事実なら、その裏金でコピー代くらい捻出してほしいと思うのは、私のいやみな性格のせいだろうか。

 後日、国道事務所より連絡があり、アセスメントのコピーを入手したのでお貸しする。ただし、必要ならコピーは自分でして下さいとのことであった。結局、近くのコンビニでA4・169ページ分をコピーすることになった。さて、そのアセスメントの中の大気汚染については152〜156ページに記載されている。その内容は、(1)評価の手順、(2)バックグラウンド濃度、(3)年平均値と日平均値の年間98%値との関連の数式、(4)評価結果の表―などである。そして、評価結果としては、予測地点6カ所「すべて環境保全目標を満足している」と書かれている。

 昨年12月4日〜5日にかけて保険医協会で実施したNO2測定では、我が家の前の道路(国道9号線より100mほど西側に入った旧山陰街道)での値は0・028ppm、また念のために行った丹波ICでの結果は0・030ppmであった。アセスメントの評価予測地点の中で距離的に一番近いのは丹波町曽根で、そのバックグラウンド濃度は0・005ppmであり、これと比べても6倍ほど高い値となっている。借りた環境アセスメントを国道事務所に返すため連絡を取ると、すぐに職員が我が家を訪れてくれたので、ぜひ丹波ICの地点でのNO2のバックグラウンド値を測定してほしいと申し入れた。すると、京丹波町須知は環境的には亀岡市より良いはずだ。亀岡市大気汚染常時測定監視局の結果でも、この環境保全目標を満たしているので、測定を実施するつもりはないとの返事であった。しかし、保険医協会が実施した亀岡市内のNO2調査結果(サンプル数14)の最低値は0・017ppm、最高値は0・036ppmで、平均は0・027ppmである。つまり、亀岡市と京丹波町須知のNO2の汚染度はほぼ同じであることが分かった。私としては、丹波IC付近でのNO2のバックグラウンド値の測定を、今後とも要請していくつもりである。

 環境を一層悪化させる高速道路や不必要な公共事業に多額の投資をするのではなく、社会保障、医療制度をヨーロッパ並みの水準に引き上げることを国民は期待している。そして、そのことが日本の内需を拡大し、今の経済危機を救うことにもなると考える。

表 評価結果(NO2)(1ppm=1000ppb)[単位:ppm]

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