シリーズ 環境問題を考える(96)

シリーズ 環境問題を考える(96)

明日の非核・エコでは遅すぎる!

環境対策委員 京都府歯科保険医協会副理事長 秋山 和雄

 現在、地球環境を破壊すると考えられるもののうち最大のものを2つあげるとするなら、それは地球温暖化と核戦争である。地球の大気は酸素が21%、窒素が78%、二酸化炭素は0・04%である。この二酸化炭素の増加により地球の温暖化は進行する。産業革命以後の平均気温の上昇は約0・8℃に達し、そのため台風の大型化、大陸の熱波や乾燥化、生態系の変化、農作物への影響が顕著になってきている。1800年後半で世界のエネルギー消費量の合計は原油に換算すると1億2000万キロリットルと推定され、それが現代ではその110倍の130億4000万キロリットルに達しているという。これはあきらかに資本主義的生産様式による利潤のための生産が生み出した結果でもある。

 この9月22日、ニューヨークの国連本部で100カ国以上の首脳が参加して気候変動首脳会合が開催され、日本の鳩山首相は温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減すると表明した。これは麻生前首相が6月に表明した8%の3倍である。また、オバマ米大統領は数値目標こそ掲げなかったものの、再生可能エネルギーの普及など米国として問題に取り組む決意をあらためて強調した。各国首脳は12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)に向けての決意を表明した。

 一方、国連安保理は9月24日「核拡散防止と核軍縮」に関する首脳級会合を開催。オバマ大統領が提案した「核兵器なき世界」を目指す決議を全会一致で採択した。現在世界には、核保有あるいは保有していると思われる国が9カ国あり、核兵器の数は、ロシア1万2990発、アメリカ9400発などをはじめその他の国の核兵器を合計すると、その数は実に2万発以上という。もし、これらの核兵器が使用されれば人類は言語を絶する被害をこうむる。さらに地球環境には取り返しのつかない破滅的な結果をもたらす。半年前オバマ大統領はプラハ演説で、米国が核兵器を使用した唯一の国としてその道義的責任を認め、核のない世界を米国の国家目標とすることを表明した。そして10月9日ノーベル賞委員会は今年のノーベル平和賞をオバマ氏に授与することを発表した。これに対してオバマ大統領は「行動への要請として受け止め、賞の授与を受け入れたい」と述べた。

 しかしながら、地球温暖化対策、非核の世界の実現は容易なことではない。それらの実現に向けて現実政治を動かすのは、まさに国際世論である。その意味で地球環境は今必死になって、われわれ1人ひとりに「行動への要請」を送っている。

 明日の非核・エコでは遅すぎる!

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