コミュニケーション委員会開く 総合診療専門医が話題の中心に  PDF

コミュニケーション委員会開く 総合診療専門医が話題の中心に

 
 協会は、10月25日にコミュニケーション委員会を開催した。今回の委員会では、「医療・介護提供体制と医療保険制度の一体的改革」と「新専門医制度と総合診療専門医」をテーマに協会から情報提供を行った後、意見交換をした。地区から15人、オブザーバー1人、協会から9人が出席、岡田楯彦代議員会議長の司会で進められた。
 「医療・介護提供体制と医療保険制度の一体的改革」の中で検討されている「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」について、委員からは高齢者住宅や特養等の施設を保持しているような病院等が制度を利用して、患者の囲い込みを行うことがないように地域の医師会が主導権を握り、危機感を持って対応しないと大変な事態に陥るのではないか危惧するとの意見が出された。また、別の委員からは公立病院も制度の活用を考えているのかと質問が出された。
 協会からは、国は「非営利ホールディングカンパニー型法人」をつくって、その中ですべてを完結できるように考えており、地域の開業医が取り込まれる恐れは十分に考えられる。しかし、こういった法人に属してしまうと今まで自らの理念に基づいて行ってきた医療ができなくなる可能性もあるので、安易に傘下に入ることは注意が必要であると説明。また、この制度には三つのモデルがイメージされており、その中の一つに「自治体中心型」というのがある。これは、自治体が中心となって地域医療を円滑に進めることが想定されているので、当然、公立病院等の再編も考えられる。しかし、機能連携の実現を目的とするならば、しっかりと病診連携を構築しさえすれば、本来はこのような制度を作る必要はない。あくまでも医療費削減を目的にしたものにすぎないと答えた。
 「新専門医制度と総合診療専門医」については、委員からあまりにも専門医に特化しすぎた現状を踏まえ、総合的に診療できる医師が必要だということでこうした考えが出てきたと思うが、それを専門医資格で対応しようとしたことが問題である。すべての医師が総合的な医療を学んだ上で、さらに専門医の資格を取った医師にインセンティブを与えるような制度にするべきだと意見が出された。また、複数の委員から、既存の開業医の動向や専門医資格と保険診療との関連について意見が出された。
 協会からは、2017年度から新専門医制度が始まるが、既存の医師の処遇や現在所持している資格の更新について、はっきりとしたことは示されていない。また、資格の更新制についても、今後外科等の場合においては手術件数の実績が要件として盛り込まれる可能性があり、開業医の中には、資格が更新できないケースも出てくるのではないかと懸念する。さらに、保険診療との関連では算定要件に専門医資格を求めてくる可能性は十分考えられるので、資格がないことでマイナス評価をされることだけは避けなければいけないと答えた。
 最後に、茨木和博副議長よりすでに開業医は家庭医としての役割を果たしており、なぜ総合診療専門医が必要なのか理解できない。医療・介護提供体制と医療保険制度の一体的改革についても、国は地域完結型の医療提供体制を考えているが、医師不足の問題をはじめ地域によっていろいろな格差がある中で、どういった医療提供の基準というものを作っていくのかが大きな課題であると締めくくった。

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