コミュニケーション委員会開く
「新専門医制度」に不安や疑問の声続出
協会は、2015年度第1回コミュニケーション委員会を10月24日に開催した。地区から11人、協会から8人が出席し、岡田代議員会議長の司会で進行した。
協会から今回のテーマである新専門医制度について報告を行い、意見交換を進めた。「既存の開業医は新制度にどのように組み込まれていくのか」「5年という短い研修期間ですぐに地域で開業できるのか」「今の開業医のように、各科の専門資格を持った上で、開業することでもメリットはある」「医師の序列化が進むことが懸念される」という不安の声が多く挙がった。
「新専門医制度は医師のレベルを一定に維持するという側面もある」「日本では、国民の健康問題をどうするかという従来の議論から、総合医が必要だと言われ続けてきたことが、新専門医制度の制度設計の背景にある」という意見に対しては、「欧米の制度を真似するのではなく、今の日本独自の良さを活かす制度作りをするべき」「今の開業医の良さを国民にもっと知ってもらうことも重要」という意見が出され、議論を重ねた。
新たに創設される非営利ホールディングカンパニー法人について、「今の開業医は、一生をかけて開業している。カンパニー傘下で開業し、うまくいかなかったら閉院し、またどこかで開業するというようなことを簡単にされては困る」「収益が悪くなって閉院し、他で開業する方法は、営利を求めている時点で、もはや非営利ではない。何を持って非営利なのか」という疑問視する声が挙げられた。
協会からは、新専門医制度導入により、医師の定数が決められ、自由開業医制が崩壊してしまう危険性があること。総合診療専門医を受診した場合と直接専門医を受診した場合とで、診療報酬や窓口負担の差別化が予想されることを説明。非営利ホールディングカンパニー法人が創設されて営利企業や外資系のトップがカンパニーのトップになり、本当に地域の医療を考えて運営されるのかと指摘。さらに、TPP交渉で、国民皆保険制度にどのように影響が出てくるのかという点についても言及した。最後に、新たな医療提供体制が推し進められる中で、将来を見据えてしっかりと考えていかなければいけないことを強調した。
その他、マイナンバー制度が話題となったが、出された意見は、「個人の経営者としてどのように対応したら良いか不安を感じる」「経営者としてこの制度は避けられないのでは」という不安や不満の声ばかりであった。協会は、マイナンバーを預かったら厳重に管理していく必要があるなど述べるとともに、セミナーや保険医新聞等で引き続き情報提供をしていくと回答した。