オンライン請求義務化/病院の期限を“半年以内”延長

オンライン請求義務化/病院の期限を“半年以内”延長

紙請求認めるも詳細な「状況届」の提出求める

 厚生労働省は5月8日、レセプトのオンライン請求が09年4月診療分の請求より義務化される病院・薬局のうち、5月10日時点でオンライン請求に対応できない病院(約220)・薬局(約2600)については、最大で10年3月31日まで書面等による従来通りの請求を認める改正請求省令(療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の一部を改正する省令)を施行した(グリーンペーパー4月号で既報)。

 しかし、同日付の保険局長通知では、「猶予期限」を「半年以内を目途に設定予定」とし、「設定期限以降、オンライン請求を行わない保険医療機関等には、診療報酬は支払われない」と明記。猶予措置の対象となった病院等には、診療報酬請求時に、オンライン請求の準備状況等の書類提出が定められた。

今後の猶予策は認められない 規制改革会議が猛反発

 厚生労働省が示した改正請求省令案について、規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船株式会社取締役・相談役)は4月21日に厚生労働省に対し質問状を提出、5月7日には見解を公表している。その中で、今回の省令改正は、レセプトオンライン請求の原則完全義務化(今後の医療政策の根幹をなす政策)の着実な遂行を停滞させる措置であり、政府の方針を逸脱するもの。猶予措置の根拠が示されず、極めて不適切、と述べている。

 さらに、可能な限り速やかに猶予期限を定め、猶予期限到来後は、診療報酬を支払わないことを徹底すべき。今回のような措置が再度講じられることがあってはならず、10年4月に義務化される病院・診療所がオンライン請求化の準備が遅滞なく進められるよう、今後とも厳格に監視していく、としている。

 厚生労働省は、4月27日付の規制改革会議への回答書で、猶予期限は半年以内を目途に設定し、設定期限以降は原則通り診療報酬は支払わない方針、と明記しており、これが5月8日付の通知に反映された形だ。

地域医療の現状顧みない「義務化」は撤回を

 今回の改正省令の施行は、オンライン請求の義務化に対応できない病院・薬局への影響、ひいては地域医療への影響を考慮した措置だが、そもそも、地域の事情を顧みず、オンライン請求を押しつけ、それ以外の請求方法を認めないという政策が引き起こした問題に他ならない。

 オンライン請求義務化の違憲性を問う訴訟(神奈川・大阪)の公判も始まる。公判の動向も注視しつつ、義務化撤回の運動をさらに強めていく必要がある。また、財界の意向を色濃く受けた規制改革会議のような一諮問機関に、医療政策をミスリードされることのないよう、これまで以上に医療関係者の運動が求められている。

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