オンライン請求義務化、実質上の撤回/厚労省・省令改正告示
厚生労働省は11月25日、オンライン請求に移行しなくても電子媒体による診療報酬請求であれば認めるとした省令改正を官報告示した。実質的に「オンライン請求の義務化」を撤回した形となる。また、手書きで請求する医療機関の電子レセプトへの対応は「努力義務」とした。
厚労省は電子媒体による請求も可能とした理由について、パブリックコメントでオンライン請求に限定することに多くの意見があったことを挙げた。パブリックコメントでは「自主性に委ねるべき(手挙げとすべき)」「義務化を撤回すべき」という意見が全体の3割を超える1006件寄せられていた。厚労省は、電子媒体による請求でも「医療保険事務の効率化、医療の質の向上など政策目標が達成される」と判断した。
省令改正案の段階では、手書きで診療報酬請求を行う医療機関の免除要件として「レセプト件数が医科医療機関・薬局で年間3600件以下、歯科医療機関では年間2000件以下」という要件が含まれていたが、「手書きの保険医療機関などの多くは、(電子レセプト対応のための)継続的な費用に対する効果が見合わないと考えられる」とし、「努力義務」とした。
オンラインか電子媒体による請求への移行が免除されるのはこのほか、「常勤の医師・歯科医師・薬剤師がすべて高齢者(65歳以上)の診療所・薬局(電子レセプトによる請求が可能な診療所・薬局を除く)」。また、電子レセプトに対応していないレセプトコンピューターのリース期間や減価償却期間が終わっていない医療機関については、最大で2014年度末までオンラインか電子媒体による請求への移行を猶予する。
また、▽電気通信回線設備の機能障害▽レセコンの納入や工事の遅れ▽改装工事中・仮の施設で営業中▽おおむね1年以内に廃止・休止を計画―などの事情で電子レセプトによる請求が困難な医療機関などについては、例外的に紙レセプトでの請求を認める。
2010年4月診療分からオンライン請求が義務化されることになっていた医科診療所などについては、今回の措置を周知する必要があるため、10年7月診療分(8月10日請求分)からオンラインか電子媒体による請求に移行することとした。
期限猶予医療機関の延長期限を告示/11月30日まで
厚労省は、09年度からの義務化を延長する措置が取られていた医療機関などの延長期限を11月30日とすると告示した。期限を猶予されていた医療機関などは、09年12月診療分(10年1月10日請求分)からオンラインか電子媒体で請求を行うことになる。(11/26MEDIFAXより)