オンライン義務化撤回訴訟は収束へ 13日の原告団総会で最終確認
レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟原告団は1月30日、訴訟の総括、今後の活動等を報告する集会を、保団連第42回定期大会に先立ち開催した。集会では、横浜訴訟原告団の入澤彰仁幹事長がこれまでの義務化撤回運動、原告団結成、提訴に至るまでの経緯、提訴後の影響等を報告。原告団弁護団長の田辺幸雄弁護士、事務局長の小賀坂徹弁護士からは、法律家の立場から、オンライン請求に係る省令(第111号・第151号)の比較と分析、訴訟の論点に係る評価の説明があった。原告団は2月13日に総会を開催、22日の第4回口頭弁論に向けて、原告と意見交換及び最終調整を行う。
東京で開催された原告団集会
入澤幹事長は冒頭、09年11月25日の請求省令改定により、オンライン請求の義務化撤回を実現した。これは全国の保険医協会・保険医会の運動の成果である。保険医運動における行政事件訴訟法第4条(当事者訴訟)を具体化し、今後の運動への大きな経験となったと評価。訴訟の帰趨については、2月13日に原告団総会を開催し訴訟を総括。訴訟で得られたもの、残された課題を検証した上で、原告の意見を伺いたいと説明した。
レセプト電子化に伴う問題は国民とともに運動を
原告団は総会での結論を踏まえて2月22日の第4回口頭弁論に臨み、勝利の弁論を行う。口頭弁論では、(1)憲法41条違反を二度と繰り返さないこと、(2)レセプトの電子化によって集約した情報の目的外使用を固く禁じること―を国に求めたい。レセプトの電子化に伴う問題は今後、解決に向けて国民とともに運動していきたいと述べた。
国民の権利義務は省令で改定できない
田辺弁護士は、請求省令第111号(06年4月11日)と改定請求省令(09年11月25日)を比較。改定省令は、レセコン使用者にオンラインか電子媒体使用の制約が加えられたが、請求方法に一定の選択肢が設けられたことで、網羅的に不都合は解消されていると考えると述べた。
小賀坂弁護士は、訴訟の三つの論点(1)憲法22条違反「営業の自由侵害」、(2)憲法13条違反「保険医の自己決定権侵害」、(3)憲法41条違反「法律による行政の原理違反」について評価。(1)は手書き請求を含む複数の請求方法が認められたことで診療継続が可能となり、営業の自由を確保した。(2)は請求方法の選択が可能になり、保険医の自己決定権を確保した(診療情報保護のための請求方法の選択)。レセプトの電子化によって集約されるデータの保存・管理が不明瞭なため、その点でのプライバシー保護、情報漏えいの課題は残るが、それは訴訟の論点ではなく、今後の課題である。(3)は第151号省令も省令改定のため、行政の原理違反は問題として残るが、今後、省令で国民の権利義務に大きく関わる事項の決定は実質的に不可能と考える。今回の訴訟は、医療行政に光を当てる訴訟となった。国の医療政策を検証する契機としたいと述べた。
その後、大阪訴訟原告団の高本英司団長、横浜訴訟原告団の平尾紘一団長が挨拶。平尾団長は、オンライン請求義務化の撤回は大勝利と言っていい。運動を始めた当初、民主党国会議員は「医療IT化は当然」との認識であったが、議員が危機意識を持つまで粘り強く活動したことが功を奏した。“頼れる保険医協会”を会員があらためて認識したのではないか、と締めくくった。