オンライン化や特養への転換を支援/経済危機対策、総額15.4兆円  PDF

オンライン化や特養への転換を支援/経済危機対策、総額15.4兆円

 自民党は4月9日、2009年度第1次補正予算に向けた「経済危機対策」を了承した。財政支出は15兆4000億円程度で、事業規模は56兆8000億円程度に達する。うち医療関係の施策を盛り込んだ「健康長寿・子育て」は、財政支出が2兆円程度、事業規模が2兆8000億円程度。11年度のレセプトオンライン請求義務化に向けた支援や、医療療養病床から特別養護老人ホームなどへの転換支援など、懸案事項への対策を打ち出した。公明党も同日、対策をおおむね了承した。

 財源は、財政投融資特別会計の積立金や、建設国債、経済緊急対応予備費を充てるほか、不足する場合には、赤字国債の発行も視野に入れる。政府・与党は27日にも、09年度補正予算案と税制改正関連法案を国会に提出する予定だ。

 今回の対策の骨子は(1)緊急的な対策─「底割れ」の回避(2)成長戦略─未来への投資(3)「安心と活力」の実現─政策総動員(4)税制改正─からなる。具体的な対策は、自民党の日本経済再生戦略会議がまとめた報告から多くを採用した。

 医療関係では、地域の医療課題の解決に向けて策定する「地域医療再生計画」に基づき、都道府県が医療圏単位で医療機能の強化や医師確保に向けた取り組みを支援するとした。また、大学病院の機能強化や、災害拠点病院の耐震化をはじめとする「医療機関の機能・設備強化」にも取り組む。IT化の推進では「レセプトの完全オンライン化を前提とした支援」と明記したほか、遠隔医療の推進にも言及した。

 また、新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制を抜本的に強化し、全国民分のワクチンの開発・生産期間について、現行では最大2年間かかるところを、約半年に短縮する体制を5年以内に敷く。生活習慣病の原因解明や予防・治療法の確立を目指し、大規模疫学調査データとゲノム情報を融合した研究も推進する。

 介護関係では、職員の処遇改善やスキルアップに取り組む事業者に対し3年間助成するほか、地域介護拠点の整備に対する助成・融資を3年間、拡大することなども提示した。福祉・介護人材のキャリアアップ支援として、離職者に対する職業訓練を無料化するほか、それぞれの求職者に合わせた職場紹介と定着支援を図る。子育て・教育支援の一環として、女性特有のがん検診について自己負担の免除を打ち出した。

 このほか、後期高齢者医療制度の被保険者のうち所得が低い高齢者の保険料について、08年度に引き続き09年度も8.5割軽減を継続すると明記した。(4/10MEDIFAXより)

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