アカルボースなど3成分のスイッチ化に反対/医学会意見書  PDF

アカルボースなど3成分のスイッチ化に反対/医学会意見書

 厚生労働省は8月15日、ホームページ上で2011年度のスイッチOTC化推進候補成分に対して日本医学会の分科会から提出された意見書を公表した。10成分のうち7成分についてはスイッチOTC化に反対意見はなかったものの、糖尿病治療薬のアカルボース、コレステロール吸収阻害薬のコレスチミド、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のオメプラゾールの3成分については賛成できないとの回答だった。厚労省はこの意見などを踏まえ、今後、薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会でスイッチOTC化推進成分について審議する。

 アカルボースのスイッチOTC化は、日本糖尿病学会が「糖代謝異常が認められる場合には、その病態に応じて食事療法や運動療法、薬物療法を含めた最も適切な治療が行われるべきで、安全性や有効性を担保するためには、病態の判断や治療法の選択は、適切な間隔で行われる血液検査や診察に基づいて医師が主導すべき」と指摘。医師の関与なしに薬物療法の可否が判断されれば、糖尿病状態の患者などに対して適切な治療が行われないなどの問題が起こり得るとして賛成できないとした。

 コレスチミドに関しては日本循環器学会が「(日本薬学会が同剤のスイッチ化について)食事などの生活習慣の改善に努めてもなお境界領域の高LDLコレステロール血症が改善できない場合に限定することで問題ない」などとしていることに反論。LDLコレステロールの自己測定や調剤薬局などによる血清脂質の迅速検査が認められていない現状では、治療効果の判定や治療継続の評価のための血清脂質判定をするためには医療機関を受診することが必要として、スイッチOTC化は現時点では困難と結論付けた。

 オメプラゾールについては日本消化器病学会と日本消化器内視鏡学会が、骨の脆弱(ぜいじゃく)化などPPI長期投与の安全性が確立されていないため医師の責任の下での服用が必須であることや、すでにスイッチされているH2ブロッカーに比べ胃酸分泌抑制作用が強力なため、消化性潰瘍や胃がんなどの重大な疾病をマスクする危険が大きいことなどを理由にスイッチOTC化は時期尚早としている。

 過去にスイッチOTC化推進候補成分として選定されながら保留となっていたぎょう虫駆除薬のピランテルパモ酸塩については日本感染症学会が「賛成」、日本寄生虫学会が「諾とすることはやむを得ない」、涙液補助用点眼薬のヒアルロン酸ナトリウムについては日本眼科学会が「大きな問題はない」と回答した。

 今回初めてスイッチOTC化推進候補成分に選定された骨粗鬆症用薬のメナテトレノンに関しては、日本整形外科学会が「反対はしないが賛成もしない」、下部消化管痛改善薬のメペンゾラート臭化物と便通異常改善薬のポリカルボフィルカルシウムは、消化器病学会と消化器内視鏡学会が「大きな支障はない」とした。排尿改善薬のプロピベリン塩酸塩とセルニチンポーレンエキスに対する意見はなかった。(8/18MEDIFAXより)

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