へき地派遣の医師に財政支援/概算要求へ「5つの安心プラン」決定

へき地派遣の医師に財政支援/概算要求へ「5つの安心プラン」決定

 政府は7月29日、社会保障制度の機能強化に向けここ1−2年の間に緊急的に取り組む対策として「5つの安心プラン」をまとめた(政策解説資料2)。地域医療体制を確保するため、へき地に派遣される医師や救急・産科・小児科に従事する医師に対して財政的に支援する方針を打ち出したほか、慢性的な医師不足対策として医師養成数の増加や、看護師や医療クラークらとの業務分担で医師の負担を軽減させる方向性を示した。プランに盛り込んだ項目は2009年度予算の概算要求に反映させる。

 安心プランは(1)高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会、(2)健康に心配があれば、誰もが医療を受けられる社会、(3)未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会、(4)派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会、(5)厚生労働行政に対する信頼の回復―の5つ。

 「高齢者が安心して暮らせる社会」の実現に向けては、雇用環境の整備と住み慣れた地域で質の高い生活が送れるよう08年中に「安心と希望の介護ビジョン(仮称)」を策定すると明記。医療療養病床については必要な病床を確保した上で、介護療養病床からの円滑な転換を進めるため、介護療養型老人保健施設の経営や入所者の実態調査を08年度中に実施し、介護報酬の見直しを含めた支援策を検討する。

 介護労働者の人材不足解消のため、ハローワークの機能強化と雇用管理改善に向けた事業主への支援も盛り込んだ。公営住宅などを活用して介護・福祉サービスの拠点を整備する方針も示した。

 認知症対策も取り上げており、医療・介護現場での連携や治療研究の推進など総合的な対策を掲げた。

 「誰もが医療を受けられる社会」の実現に向けては、へき地勤務の医師への財政支援のほか、夜間・休日の救急医療を担う医師の手当への財政支援や、ドクターヘリの配備などを明記した。病状に応じた適切な医療を提供できる医療機関・診療科へ患者を効率的に振り分けることのできる体制に向け、「管制塔」機能を担う医療機関の整備を進めるとした。こうした措置を着実に実施するため、診療報酬の見直しも検討するとした。

 「厚生労働行政に対する信頼の回復」としては、このほど立ち上げた「厚生労働行政在り方懇談会」で改革の方向性を示し、改善策を検討すると指摘。懇談会での検討内容は迅速に実行に移し、早急な信頼回復につなげるとした。(7/30MEDIFAXより)

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