どうなる?!開業医医療 会員意見交換会を継続して開催  PDF

どうなる?!開業医医療 会員意見交換会を継続して開催

 協会は「どうなる?! 開業医」会員意見交換会を5月31日に開催。これは「開業医医療の復権」をテーマに、京都を主務地として2016年に開催する予定の保団連医療研究フォーラムに向けて、会員の忌憚ない意見をきく連続企画の第1弾として企画したもの。
 専門医制度の見直しと医療制度改革が現在どういう段階にあり、「今、開業医をめぐって何が起ころうとしているのか」について吉中丈志理事から基調報告。提供体制と保険制度の一体的改革で地域の医療者の統合が進められており、専門医制度の見直しの中で現在の開業医医療を否定する形で提示されたのが総合診療専門医という新たな医師像であり、開業医医療の在り方そのものが転換されようとしていると問題提起。
 続いて、この問題を検討してきた協会の医療制度検討委員会の委員らから、在り方が変えられてしまうであろうこれからの若き担い手たちへのメッセージとして発言し、参加者と意見交換を行った。
 塚本忠司氏(西京)は、開業医として地域で生きるということは、「地域にどれだけお返しができるか」であり、地域の連携や認知症カフェなどにも参加すべきと勧めた。また、在宅看取りで、死亡確認を待たせるのは逝かれる方に失礼であり、そうならないよう心がけが必要だと述べた。
 吉河正人氏(福知山)は、聴診器を当ててもらうことがなかったという病院からの紹介患者の多さに驚く。基本的な医学所見をとる習慣を大切にすべきと語った。日常の元気なときから継続的に状態を観察しているからこそ、すばやく異状に気づくことができると訴えた。
 吉村陽氏(相楽)は、「患者は先生」という言葉どおり、患者さんからどれだけ引き出せるかが医師の能力であり、診療だけではなく生活にも目を向けねばならない。皆保険は空気のようにあるが、患者は必要な医療が受けられ、医師はそれによって生活できることに目を向けるべきと述べた。
 渡邉賢治氏(西陣)は、専門医制度とは誰のものかを問いかけた。医師のためであれば、選択は自由でかつ報酬に差をつけることがあってはならない。患者のためであれば、選択の役には立つが安心して任せられるか否かは資格の有無だけに依らない。フリーアクセスさえ守られれば問題はないはずで、国の統括を強める方向での見直しへの危惧を示した。
 医師と政治という論点で飯田哲夫氏(下西)は、医療に関わるものとして国民へのよき医療を根本に、それに影響する社会の仕組み、動きに意見を述べ、それを実践する努力をすべきとし、その意見がある党派性に類似しているからという理由で排除するのは本質から乖離していると戒めた。
 病院の立場から増田道彦氏(宇久)は、病院医師もプライマリケアは修得すべきとの考えから、臨床研修制度の見直しでローテート必修科が減ったのは大きな後退と指摘。病院では領域別・臓器別の専門医だけでは成り立たず、領域別専門医と総合診療専門医のベストミックスと連携が望まれると強調した。
 当日は府内各地から会員および行政からも参加があり、総合診療専門医を巡る今後の情勢に高い関心が示された。第2回目は「開業医フォーラム」の名称で別記の通り開催する。多くの会員の参加をお願いしたい。

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