どうなるの?京都のリハビリ リハセンのあるべき姿を市民の側から  PDF

 どうなるの?京都のリハビリ リハセンのあるべき姿を市民の側から

関係者や市民が集いフォーラム開催

 「どうなるの?京都のリハビリテーション」と題したフォーラムが5月11日、京都新聞文化ホールで開催された。フォーラムは京都市身体障害者リハビリテーションセンター(以下、市リハセンと表記)の機能縮小から、附属病院や補装具製作施設の廃止を検討している状況を受け、協会が呼びかけて結成した実行委員会が主催。105人の市民・当事者・リハ関係者が参加した。フォーラムは、市リハセンの理学療法士である今井陽一氏が司会を務めた。

機能縮小はあくまで財政事情

 開会にあたり、実行委員会を代表して浅田和之氏(理学療法士・京都市職員労働組合リハビリテーション分会)があいさつ。続いて、協会・渡邉賢治理事と瀧澤透氏(京都府言語聴覚士会会長)が基調報告を行った。

 渡邉理事は、実行委員会結成に至った経過と京都市の議論状況を紹介。その上で、京都市はあくまで財政事情から市リハセン機能の縮小を目指しており、その姿勢が(1)市リハセン附属病院の役割を京都市は理解していない、(2)リハビリテーションを医療から切り離そうとしているという、2つの本質的誤りを抱えていると指摘した。その上で、本日を機に京都市のリハ行政と新たな市リハセンの発展への取り組みを開始しようと呼びかけた。

 瀧澤氏は、市リハセン職員が結成した「活性化に向けた実行委員会」の立場から、「京都市リハビリセンターはその使命を本当に終えたのでしょうか?」と題して報告。市リハセンの沿革を踏まえ、診療報酬上の回復期病棟開設以降にリハビリテーションの流れがどう変化したかを紹介。その上で、回復期リハの仕組みは「短い入院期間」という欠陥を抱えており、脊髄損傷者や広義高次脳機能障害者等、重度障害者や改善途中の人がリハビリテーションの機会を保障されなくなる(リハビリ難民の発生)。市リハセンのコンセプトは「最後のリハビリテーションの担い手」と強調した。

各分野からリハセンの存在意義訴え

 後半は、リハビリテーション関係者が次々に発言した。医師からは、坂本誠理事と冨田素子氏(医師・京都地域リハビリテーション研究会)、市リハセン職員の浅田和之氏(理学療法士)、谷口太郎氏(京都府作業療法士会副会長)、三田村啓子氏(京都府言語聴覚士会前会長)、荻原由美子氏(看護師・市リハセン附属病院病棟副師長)、細見温氏(社会福祉士・市リハセン元職員)がそれぞれの観点から、今回の京都市方針の問題点を指摘し、市リハセンの存在意義を訴えた。

 さらに、会場の市リハセンの過去・現在の患者さんから、「リハセンがあってこそ、自分の今日がある」との思いが語られた。

 発言を受けてまとめに立った協会・垣田副理事長は国もリハビリテーションの強化を強調し、予算措置もされるような時代に、なぜ京都市は大切な財産をなくそうとするのか。今日を出発点に市民的な議論をすすめていこうと訴えた。
 最後には、「参加者アピール」を満場一致で確認し、フォーラムを終えた。
 なお、当日は会場にて運営カンパを訴え、6万2232円もの協力を得た。

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