たん吸引で「介護福祉士法」改正へ/厚労省検討会が中間まとめ  PDF

たん吸引で「介護福祉士法」改正へ/厚労省検討会が中間まとめ

 厚生労働省の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・国立長寿医療研究センター総長)は12月13日、これまで「違法性阻却」として運用上、認められてきた介護職員等によるたんの吸引と経管栄養について、「社会福祉士及び介護福祉士法」など関連法を改正することで、法律上、実施を認めるとした中間取りまとめを大筋で了承した。今後は、実施のために必要な研修内容の詳細や、一定期間設ける予定の経過措置の在り方などについて議論し、2012年度からの実施を目指して改正案を11年の通常国会に提出する方針だ。

 中間取りまとめでは、実施できる行為の範囲を▽たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)▽経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)─とし、「口腔内・鼻腔内は咽頭の手前までが限度」「胃ろう・腸ろうの状態確認、経鼻経管栄養のチューブ挿入状態の確認は看護職員が行う」の2点を明記した。行える範囲については「将来的な拡大の可能性も視野に入れた仕組みとする」との文言を盛り込んだ。

 たんの吸引・経管栄養の実施に必要となる研修の内容については、50時間の講義を含む基本研修と実地研修の体制で10年10月から実施している試行事業の結果を踏まえてさらに検討するとした。試行事業の結果報告など検討材料が出そろうのを待って、2月以降に次回検討会を開催する予定だ。

●「医行為」の議論再燃
 この日の会合では、介護職員等が実施できる行為について「医行為から外した形で認めるのか」「医行為のまま、必要な研修の修了者に認めるのか」の議論が再燃した。三上裕司委員(日本医師会常任理事)は「可能な限り速やかに結論を得るためにも、新しい資格をつくるような法改正より、解釈通知を出すほうが早いと思う」とあらためて主張。一方、島崎謙治委員(政策研究大学院大教授)は「現在は何か起こった場合、ヘルパーが個人で責任を負わなければいけないような状況。こういう問題を解決するには法改正が必要」と指摘した。

 大島座長は会合後、記者団に対し、「中間取りまとめとしては付記というような形で『医行為から外すべきとの強い意見もあった』との記述は残る」と述べた。(12/14MEDIFAXより)

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