これが社会保障制度といえるのか?!確保法案に断固、反対  PDF

これが社会保障制度といえるのか?!確保法案に断固、反対

 5月15日、医療・介護総合確保法案「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が衆議院本会議を通過した。

 これは、昨年12月に成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」に基づいて、医療・介護にまたがる19の法律を一括して変えるもので、十分な審議も経ないまま全野党の反対する中で強行採決されたことは、安倍政権の強権的独裁政治の実態を改めて見せつけた。選挙で選ばれた国会議員の多数決で決めた以上文句は言わせない、では国民の信は続かない。

 この法律の問題点は、民主党政権時に提起された時からずっと指摘してきたように、日本の社会保障制度のあり方を大きく変えていくことにある。特に、医療・介護の分野は誰にとっても日々の生活と直結する課題なので、これが施行されていくと将来にわたって国民生活に多大な影響が生じることは目に見えている。

 これから団塊の世代が高齢期に入り、10年後の2025年には4人に1人が75歳以上という超高齢社会が到来する。医療費も介護費用も75歳を過ぎるとぐっと増えるので、このままでは今の制度が破綻してしまう。手を打たねば、というので「持続可能性を図る」が錦の御旗になったのだが、これを国が国民に提供する社会保障制度と言えるのかどうか。

 まず医療費は削減する。そのために最も費用がかさむ入院を制限する。病床を削減し、在院日数を短縮して早期退院を図る。病院機能を急性期、回復期、慢性期に分け報酬格差を明確にする。さらに病院から出すため「在宅復帰率」を報告させ報酬に換算する。

 「在宅」と言っても必ずしも住み慣れた我が家とは限らない。認知症が増え、独居・老老世帯が増えるのでケアハウス、「サ高住」など多様な在宅を用意。

 介護サービスも低下する。要支援者に対する訪問介護、デイサービスが給付から除外され、特養入所は要介護3以上に制限される。そして、年収280万円以上の人の自己負担割合が2割に引き上げられる。

 必要なのに使えない。行き場を失ったニーズは「互助」に代替させ、同時に「自助」を市場に委ねて医療・福祉分野の「成長産業化」=営利事業化を推進する。併せて成長戦略にかかわり、「選択療養」など混合診療解禁が企まれ、アベノミクスは着々と貫徹されていくことになる。

 「社会保障基本法を制定し福祉の国づくりを」という我々の主張からはあまりに遠い“悪”法の成立に断固反対する。

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