がん拠点病院の新指針、都道府県の7割で「対応困難」  PDF

がん拠点病院の新指針、都道府県の7割で「対応困難」

 すでに指定を受けているがん診療連携拠点病院に対して2010年4月から適用される新たな整備指針をめぐり、「すべての病院で新指針の要件を満たすことは困難」と見込んでいる都道府県が7割以上に上ることが、全国衛生部長会の調査で分かった。現在、指定を受けている拠点病院は、新指針の要件を満たして09年度10月末までに指定更新の申請をしなければならず、要件を満たせなかった場合には10年4月以降、拠点病院の資格を失うことになる。

 厚生労働省は08年4月、がん診療連携拠点病院の整備指針を改正。専任の放射線治療や緩和ケアチームの配置、放射線治療機器の設置などを必須の条件としている。

 調査は、同会が会員都道府県に対して09年度1月に行ったもので、回答のあった39都道府県について集計した。同会によると「すべての病院が要件を満たすのは困難」と答えた都道府県は74.4%に上った。一方「おおむね要件を満たす見込み」としたのは

 20.5%にとどまった。

 新要件を満たすことが困難と答えた都道府県に対し満たすことが困難な要件(複数回答)について聞いたところ、「緩和ケアにかかわる医療従事者の配置」(75.9%) が最も多く、「専任の放射線治療医の配置」(34.5%)、 「専従の病理診断医の配置」(31.0%)、 「放射線治療機器の整備」(27.6%) と続いた。同会によると、指定要件への対応に課題があるとして、11の都道府県で独自の拠点病院制度の創設などを検討しているという。

 国に対して要望すること(複数回答)では、28.2%が「専従医療従事者の配置要件の緩和」を挙げ、「医療従事者確保のための具体的な対策の実施」(17.9%)、 「人口規模による拠点病院の配置数制限の緩和」(10.3%)、 「国立がんセンターが実施する相談員研修などの開催数の増加」(同)なども多かった。

 同会は、2月3日に行われた厚生労働省・がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会に調査結果を提出。出席した迫井正深構成員(広島県健康福祉局長)は、地域の実情に応じた弾力的な運用を求めた。(2/5MEDIFAXより)

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