がん予防・早期発見、3倍増の304億円/健康局の概算要求  PDF

がん予防・早期発見、3倍増の304億円/健康局の概算要求

 厚生労働省健康局の2011年度予算概算要求は、「がんの予防・早期発見の推進」に特別枠を含めて304億円を計上した。前年度106億円から約3倍増となる。特別枠として、10代へのHPVワクチン接種など、市町村が実施する子宮頸がん予防対策事業にかかる費用の一部を助成する「子宮頸がん予防対策強化事業」に150億円を計上したほか、40−60歳の対象者に対して市町村が大腸がん検査キットを直接送付する事業に助成する「働く世代への大腸がん検診推進事業」に55億円を要求した。

 また、10年度に引き続き、子宮頸がん・乳がん検診の無料クーポン券などを対象年齢の女性に配布し、検診率の向上を図る「女性特有のがん検診推進事業(73億円)」や、ピアサポーターや相談員のための研修プログラムを策定する「がん総合相談に携わる者に対する研修プログラム策定事業(4800万円)」を盛り込んだ。

●患者手帳、検診強化など5事業を特別枠で/肝炎対策

 肝炎対策では、現在議論が進んでいる肝炎対策推進協議会の中で言及があった▽肝炎患者支援手帳▽地域肝炎治療コーディネーター養成▽肝炎検診強化▽肝炎ウイルス検査クーポンモデル事業▽多角的広報戦略─など5事業(計38.4億円)を特別枠で要求した。

 「肝炎治療コーディネーター」は全国で2000人の養成を目指す。保健師や看護師、民間企業の健康管理担当者らを対象に、検査の受検勧奨の方法や必要な知識の習得を促し、肝炎患者のコーディネートが可能な人材を養成するのが狙い。また、「肝炎ウイルス検査クーポンモデル事業」では、市町村でのモデル事業として肝炎ウイルス検査の無料クーポン券を配布し、個別通知による受検勧奨の有効性などを検証する。

●感染症の情報伝達システムに300万円

 このほかの新規項目では、地域での新型インフルエンザなどの感染症対策強化として、感染症に関する情報や通知のメール配信システムの運用に関する「情報提供迅速化経費(300万円)」を盛り込んだほか、全国5カ所程度の医療機関を「痛みセンター」として指定し、慢性疼痛対策の連携を推進する「痛みセンター事業費(1000万円)」などを計上した。

 健康局の概算要求額は全体で2953億円、うち特別枠は243億円を計上した。

●小児慢性疾患への支援に162億700万円

 雇用均等・児童家庭局は11年度概算要求で、母子保健医療対策の充実に前年度56億7900万円増の287億3700万円を要求。小児慢性疾患への支援として162億700万円を計上した。(9/1MEDIFAXより)/p

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