【TPP】TPPは公的保険に悪影響/参院公聴会で元外務省局長
元外務省国際情報局長の孫崎享氏は5月2日の参院予算委員会公聴会に公述人として出席し、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる問題で、特にISD条項(国家と投資家の紛争解決条項)への懸念を表明した。TPPが与える日本の公的医療保険制度への影響については「最終的には今のような国民の健康を守る制度から大きく逸脱していくと思う」と予想した。公述人として意見を述べた後、田村智子氏(共産)の質問に答えた。
孫崎氏はISD条項について「国家の主権を揺るがす重大課題」「企業利益を最優先する」と強調し、最高裁判所の判決をも裁くものだと説明。企業と国家間の紛争の具体例として、医薬品の特許をめぐり米国の製薬企業イーライリリー社が、ISD条項に基づき、カナダ政府に約1億ドルの損害賠償を要求している事例などを紹介した。
また、TPPは基本的に米国的な社会を日本が受け入れるかどうかの選択になるとした上で、米国では年収3万5000ドル以下の人の3割が医療保険に加入していないと指摘。TPPが与える日本の公的医療保険制度への悪影響に懸念を示した。(5/7MEDIFAXより)