【TPP】安倍首相、TPP交渉参加を正式表明/「皆保険は断固守る」  PDF

【TPP】安倍首相、TPP交渉参加を正式表明/「皆保険は断固守る」

 安倍晋三首相は3月15日、首相官邸で記者会見し、米国など11カ国が参加している環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加を正式に表明した。医療界が懸念する国民皆保険制度への影響については「断固として守る」と宣言した。

 安倍首相は「日本と米国の2つの経済大国が参画してつくられる新たな経済秩序は、単にTPPだけのルールにとどまらない」と述べ、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)やアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のルール作りを見据えて交渉参加が不可欠だと説明。「今が(交渉参加の)ラストチャンス。この機会を逃すことは、日本が世界のルール作りから取り残されることにほかならない。TPPへの交渉参加はまさに国家100年の計であると私は信じる」と決意を述べた。

 また、「自助・自立を基本としながら、不幸にして誰かが病に倒れれば、村の人たちが皆で助け合う農村文化。その中から生まれた世界に誇る国民皆保険制度を基礎とした社会保障制度。これらを私は断固として守る」と述べ、国民皆保険の堅持をあらためて強調した。

 今後の交渉参加国との協議では、すでに合意している枠組みがあれば組み替えることは難しいとの指摘もある。安倍首相は「日本が交渉に参加すれば、必ず重要なプレーヤーとして新たなルール作りをリードしていくことができる」と指摘。交渉脱退の可能性は「国益を中心に据えて交渉を進めていくわけで、だからこそ交渉に参加する。今ここで離脱するかを言うのは、むしろ国益にも反するわけで適切ではない」と明言は避けた。

 同日、交渉を戦略的に進めるために甘利明経済再生(一体改革)担当相にTPP担当相を兼務させることを発表した。

●統一試算を公表、実質GDP3.2兆円増
 交渉参加表明に合わせて政府は、TPP加入による継続的な底上げ効果として実質国内総生産を3.2兆円押し上げるとする暫定試算を発表した。ただ、輸入品にかける税金(関税)の全てをすぐに撤廃し、農家などへの支援策を行わない場合を想定したもので、今後の交渉結果で数字は上下する。サービス・投資の自由化などは仮定に含めておらず、公的医療保険への影響は加味されていない。

 試算はこれまで内閣官房と農林水産省、経済産業省がそれぞれ示していたが、異なる結果が混乱を招いているとの非難が出ていた。(3/18MEDIFAXより)

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