【IT】IT活用で効率的な医療サービス提供を/日独シンポ
厚生労働省とドイツ連邦保健省、ベルリン日独センターは4月9日、「医療制度における現代の情報基盤」をテーマに日独シンポジウムを開催した。日本の現状を報告した厚労省の唐澤剛政策統括官(社会保障担当)は「質が高く効率的な医療サービスをいかに提供するかは日独共通の課題」と指摘。ドイツ連邦保健省のアネッテ・ビドマン・マウツ政務次官も「日本とドイツが直面している医療制度の課題は、もはやITなしでは克服することはできない」と述べるなど、ITを活用した医療サービスの効率的な提供が両国にとって喫緊の課題になっているとの見方を示した。
医療の情報化について唐澤政策統括官は、▽患者自身が自らの情報に基づいて行う健康管理▽医療機関の地域連携による医療の質向上▽新規の医療技術開発に向けたデータ活用―などの側面からその重要性は高まっていると説明。日本の医療制度の特徴として国民皆保険のほか、フリーアクセスと病院全体の約8割を民間病院が占めることを挙げ、フリーアクセスについては診察を受けた医療機関ごとに患者の情報が蓄積され、医療情報などが散在することにつながるとし、ITの活用でこれらの情報を「患者のために有効活用することが必要になる」と述べた。また、医療サービスの提供を多くの民間病院が担っていることも踏まえ、情報の共有化に際しては「個人情報保護を十分に講じた上でどういうシステムをつくるかが重要な課題」との見解を示した。
●ドイツでは医療情報カードを5000万人に配布
ドイツの現状を報告したマウツ政務次官によると、ドイツは医療情報カードの配布目標数やその期限を法律で定め、2012年末までに公的医療保険の被保険者の約7割に相当する5000万人に顔写真入りの医療情報カードを配布した。現在、このカードは保険証として使われている。今後は、複数の医療関係者の間で患者へのサービス提供の際に安全なコミュニケーションを確保するためのツールとして使用するほか、患者の医薬品使用の安全性を高める目的で活用することも想定しているという。(4/10MEDIFAXより)