【3党協議】社会保障充実に1兆円超を要望/衣替え再開の3党協議で民主
社会保障制度改革をめぐる自民、公明、民主の3党実務者協議が11月8日、衣替え後の初会合を開いた。消費税率を8%に引き上げた時の増収分の使い道をめぐり、民主党が1兆円以上を社会保障の充実に充てるべきだと主張。政府・与党が想定する5000億円からの大幅な増額を求めた。
政府は消費税率を10%に引き上げた場合、現行の税率からの引き上げ分となる5%分(約14兆円)のうち1%分(約2.8兆円)を社会保障の充実に充てる方針で、増収分の2割が回る計算。税率を8%に引き上げた直後の増収額は5.1兆円と見込んでおり、民主はこのうち2割に当たる1兆円以上を社会保障の充実に回すべきだと主張した。
充実の具体策としては▽協会けんぽへの国庫補助割合の引き上げ▽診療報酬の引き上げ▽看護・介護関連職の賃金引き上げ▽小児慢性疾患や難病患者の自己負担増の緩和―などを挙げたという。
会合後、取材に応じた民主党の玉木雄一郎衆院議員は「消費増税をして社会保障が充実したと国民に実感してもらえないと、二度と消費税率の引き上げをできなくなるという思いがある。民主党が犠牲を払いながら増税を決めた以上、充実については消費税率8%の段階から見せていかなければ、国民の理解を得にくくなる。充実はできるだけ増額すべきとわが党から申し上げた」と強調した。
これに対し与党側は、実現できそうな点について合意点を探るよう努力する姿勢を示したという。
3党実務者協議は、社会保障制度改革国民会議と並行して議論を進めてきたものの、2013年8月に民主が「自・公が抜本的な制度改革議論を拒否し続けている」として、協議に応じないことを表明。いったんは決裂したものの、民主党政権下で社会保障・税一体改革を進め、3党で消費税率引き上げの枠組みを決めた経緯を踏まえ、新たに3党の政調会長の下に実務者協議を設置することで合意。当面は消費増税に伴う増収分のうち、どの程度を社会保障制度の充実に用いるのかを議論することとしていた。(11/11MEDIFAXより)