【高齢者医療】「後期」は廃止、国保は都道府県単位/民主が見直し案、15年度から  PDF

【高齢者医療】「後期」は廃止、国保は都道府県単位/民主が見直し案、15年度から

 民主党は5月31日の政策調査会役員会で、高齢者医療制度の見直し案を決定した。厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」が2010年にまとめた改革案と同様、加入する制度を年齢で区分することをやめ、後期高齢者医療制度は廃止する。国保の運営は段階的に都道府県単位化する。新制度の開始は改革会議案より2年遅らせ15年度から。70−74歳の自己負担を本則の2割に戻すかどうかについては、13年度の予算編成過程で検討する。

 政調役員会は、午前の厚生労働部門会議がまとめた法案の要綱案を了承した。国保運営の都道府県単位化は、まず15年度に75歳以上の高齢者が、都道府県単位に広域化した国保か、被用者保険に加入する。5年後の20年度をめどに、第2段階として国保の全年齢での都道府県単位化を図る。後期高齢者医療制度の廃止と、都道府県単位の財政運営については、医療保険制度の会計年度が診療月ベースでみると3月から翌年2月になることを考慮して、法律の施行期日を15年3月1日とする。

 見直し案はこのほか、高齢者医療支援金の総報酬割や、保険者の支援金負担軽減を目的に公費負担を47%から50%に引き上げることを盛り込んでいる。

 改革会議案で「新制度の施行日以後、70歳に達する人から段階的に2割に戻す」としていた70−74歳の自己負担についは、社会保障・税一体改革大綱の表現と同様、13年度の予算編成過程で検討することにした。

●財源は、自治体との調整は、野党との交渉は…
 部門会議では、市町村国保を都道府県単位化するための財源は、厚労省と総務省が協調して財務省に求めていくべきとの意見が上がった。部門会議として案をまとめた以上、法案として確実に提出することを担保してほしいという要望も出た。法案を提出できずに後期高齢者医療制度が存続し、70−74歳の自己負担だけが2割に戻ることを不安視する声もあった。長妻昭部門会議座長は会合で、財源措置の問題も含め、部門会議として政調や政府に働き掛けることを約束し、部門会議で見直し案が了承された。

 民主党が正式な見直し案をまとめたことで、今後は国保の都道府県運営に伴う財源確保や、全国知事会など自治体関係者との調整、廃止法案に反対する野党との交渉に焦点が移る。

 梅村聡部門会議副座長は会議終了後、記者団に「省庁間の調整は実質的には政府になる」と指摘。柚木道義氏(医療・介護ワーキングチーム座長)は「今後は政府・与党が一体となって関係者の理解を得るハイレベルなやりとりをする段階に入った」と述べた。政調役員会では、国保の広域化を進めるための財政支援や、今国会に法案を提出することの重要性を訴えたという。(6/1MEDIFAXより)

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