【高齢化対策】都市部高齢化で「互助促進」「地方移住」/厚労省検討会が初会合
急速な高齢化が見込まれる都市部での高齢化対策を検討する厚生労働省の「都市部の高齢化対策に関する検討会」の初会合が5月20日開かれた。都市部の自治体担当者を交え、「互助」などを活用した都市部でのサービス確保策や、地方部による都市部高齢者の受け入れ策について検討していく。検討会に先だって挨拶した老健局の原勝則局長は、介護保険制度を持続可能なものにするには、高齢者自身が積極的に社会参加に取り組み、できるだけ元気でいる「自助」と、見守りや生活支援を地域でインフォーマルに提供する「互助」を併せて拡充していくことが不可欠との見解を示した。/p>
原局長は、都市部での地域包括ケア構築の阻害要因として地域住民の絆が弱いことを挙げる一方、利点として民間サービスや若年人口が多い点を指摘し「都市部の保険者は都市の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築を目指して計画的に取り組んでいただきたい」と述べた。スケジュールについても言及し「当面は(2015年度からの)第6期介護保険事業計画に向けて、必要な意見を頂戴したい」と述べた。
座長の大森彌・東京大名誉教授は都市部での高齢化に加え、地方部の過疎化問題も指摘した。「地方部は1人でも人が欲しい。何とかして大都市とそれ以外の地域がうまく結び合うような仕組みが考えられないだろうか」と述べた。地方と都市部の高齢者を結び付けることと、地域完結を前提としている地域包括ケアとの整合性を図ることについては「意外と難しいのではないか」との見解を示した。
●日本が解決できなければ、世界も
日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏は、急速な高齢化は日本だけの問題ではないと指摘した。ただ、日本は世界に先駆けて高齢化が進行しているため「日本が解決できないと、世界的にどこも解決できない」と都市部の高齢化問題に取り組む重要性を述べた。
今後、月に1回検討会を開き、9月にも一定の取りまとめを行う。次回以降の検討会では地方自治体や有識者のほか、サービス提供者からのヒアリングを予定している。(5/21MEDIFAXより)