【難病】難病・小慢ともに報告書取りまとめ/通常国会に法案提出へ
厚生科学審議会・疾病対策部会の難病対策委員会(委員長=金澤一郎・国際医療福祉大大学院長)は12月13日、報告書案の取りまとめを行い、おおむね了承した。今後は金澤委員長と事務局で微修正した後、疾病対策部会に提出。報告書を基に新法案を2014年の通常国会に提出し、40年ぶりとなる難病制度の改革を進めていく。
患者の自己負担限度額がまとまったことで、次の焦点は対象疾患の選定に移った。56疾患から約300疾患に大幅拡大する対象疾患や助成要件となる重症度分類などは、新たに設置する「対象疾患等検討委員会(仮称)」が決める。難病に関する医療の有識者で構成する第三者的組織として、原則公開で審議を行う予定。
患者からはできるだけ早期の新法案施行が求められていることもあり、すでに助成対象である疾患と一部の新対象疾患は、15年1月をめどに施行できるよう調整することになっている。法案審議と並行して国・都道府県の新体制整備が求められるが、▽患者データベース▽「難病指定医(仮称)」指定と研修制度▽「新・難病医療拠点病院(仮称)」の指定・ネットワーク体制▽難病相談・支援センターの機能強化▽就労支援の充実―など項目は多岐にわたる。また、助成の要件を満たさない疾患(パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、スモンなど)が対象から外れた場合、別の予算措置などの検討も必要となり、施行までの準備期間は少ないのが現状だ。
●トランジションと教育機関との連携課題/小慢
社会保障審議会・児童部会の「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」(委員長=五十嵐隆・国立成育医療研究センター総長)でも、報告書案をおおむね了承し、14年の通常国会に児童福祉法改正案が提出されることになった。小慢の対象疾患については、引き続き同委員会で選定・見直しを行う。
委員からは、小慢で重要課題とされている「トランジション(患児の成人・難病制度への移行)」について、引き続き審議を求める声が上がった。難病の対象疾患が拡大することもあり、進捗状況を踏まえながら総合的な支援を検討していくことになるもようだ。また、教育機関との連携を求める声もあり、都道府県での「慢性疾患児地域支援協議会(仮称)」設置だけでなく、文部科学省と連携した取り組みも課題とされた。
●「助成は当初案から大きく進歩」/JPA伊藤代表理事
報告書の取りまとめに当たって患者団体が会見した。難病対策委員会にも加わった日本難病・疾病団体協議会(JPA)の伊藤たてお代表理事は「法制化で新たな難病対策のスタートを切ることができ、原因究明・治療法開発が進むことを願っている。医療費助成も義務的経費になり、当初案からも大きく進歩した。完全ではないが、今後もじっくり議論していきたい」と成立に期待を寄せた。(12/16MEDIFAXより)