【難病】難病の自己負担割合と限度額、引き下げへ/厚労省がたたき台
厚生労働省が10月18日の難病対策委員会で提示する新たな医療費助成制度案のたたき台が明らかになった。自己負担割合は、現行の3割から2割に引き下げる。自己負担の限度額も、高齢者(70歳以上)の高額療養費制度(外来)を参照に所得に応じて設定し、各階層で大幅に引き下げる。10月18日の同委員会はこの案をベースに議論し、委員からの意見などを取り入れ、11月中に委員会としての取りまとめを行う予定。
厚労省健康局疾病対策課は委員からの要望に応じ、これまでの議論で出てきた基本的な考え方に沿って制度案(たたき台)をまとめた。自己負担限度額は夫婦2人世帯所得を目安に階層区分し、新規認定者の場合▽生活保護世帯で0円▽市町村民税非課税世帯で8000円▽年収約370万円未満の世帯で1万2000円▽年収約370万円以上の世帯は4万4400円―となっている。
低所得とされる市町村民税非課税世帯の場合、現行の70歳未満の高額療養費制度では3万5400円だった自己負担限度額を8000円に引き下げる。年間所得280万円で毎月50万円の医療費を要する難病患者の場合、現行では3カ月目までは8万2430円、4カ月目以降は4万4400円だったが、新制度案では1カ月目から1万2000円となる。
これらの自己負担限度額では、症状が変動して入退院を繰り返すといった難病の特性に配慮し、外来・入院の区別は設定しない。また現行では、医療機関ごとに限度額を設定していたが、受診した複数の医療機関の自己負担(保険調剤・訪問看護を含む)を全て合算した上で適用する。すでに認定済みの患者については、低所得者に配慮しつつ別途検討するが、経過措置は約3年間とした。高額医療によって軽症が維持されている患者についても引き続き助成対象に含む。
●タイムリミット迫る
社会保障制度改革国民会議の報告書を受けて今国会で審議される「プログラム法案」では、新たな難病対策について必要な措置を2014年度をめどに講ずるとし、14年通常国会への法案提出を目指すことになっている。疾病対策課は、10月18日の委員会で出た意見を反映させ、10月下旬から11月上旬に行う会合では、難病患者が具体的に自身のケースを想定できる程度の素案にまで詰め、11月中に取りまとめを行いたいとしている。
ただ、新たな医療費助成制度が参照する高額療養費制度は、見直しが社会保障審議会・医療保険部会で進んでおり、予算編成過程で決着する見通し。たたき台はあくまで現行制度を参照にした。田原克志課長は「いくつかの案が出ており、階層区分なども影響を受ける。保険局サイドの議論もにらみながら委員と検討していく。必要な予算については、制度が固まって積み上げてからの議論になる」と述べた。(10/18MEDIFAXより)