【難病】小慢児の自己負担限度額、階層区分見直しへ/社保審・専門委
社会保障審議会・児童部会の「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」(委員長=五十嵐隆・国立成育医療研究センター総長)は10月23日、小児慢性特定疾患の医療費助成制度について、厚生労働省が提示したたたき台を基に議論した。難病対策と同様に「自己負担限度額の階層区分をさらに細かくする」との方向で意見が一致し、来週の次会会合で修正案が提示される見通しとなった。
雇用均等・児童家庭局母子保健課がたたき台を提示した。夫婦2人子1人の世帯を想定して所得を階層区分し、自己負担限度額を▽生活保護世帯で0円▽市町村民税非課税世帯で月額4000円▽年収約380万円未満世帯で同6000円▽年収約380万円以上世帯で同2万2200円―とした。健康局疾病対策課が高齢者の高額療養費制度を参考に作成した難病対策のたたき台を基に、自己負担額について一律2分の1にした内容。現行制度でも自己負担限度額は難病対策の2分の1となっており、それを踏襲した。ただ、難病対策と異なり、軽症まで対象に含まれる。
たたき台に対し、小林信秋委員(難病のこども支援全国ネットワーク会長)は「年収380万円で月2万2200円の負担は、若い世帯には大きい」と発言。他の委員からも、年収380万円以上について階層区分の細分化を求める意見があった。
利用者負担となった入院時の食事療養費については、「極力負担を減らしてほしい」と「自己負担はやむを得ない」との双方の意見が出た。厚労省は「トータルでの負担額を考慮して検討し、次回提示する」とした。
●かかりつけ医を交えた連携パスを
小児慢性特定疾患に対する医療連携についても、厚労省から提案があった。日本小児科学会が現在調整中の中核病院小児科(大学病院や総合小児医療施設)を三次医療圏ごとに設置し、地域の小児科の医療機関とネットワークを構築するとしたほか、自治体などにより「指定医療機関」として位置付けられた小児科の医療機関と保健所や自治体の保健福祉部局、教育機関、患者の家族会などが協力して設置する「支援協議会(仮称)」を通じて連携を深めるとの考えを示した。石川広己委員(日本医師会常任理事)は糖尿病患者に対する取り組みを例に挙げ、「地域包括ケアを進める中で、かかりつけ医を基軸に地域でやることが大事。慢性期で安定しているのであれば、小児慢性特定疾患児手帳に危険症状を書いてもらえれば、かかりつけ医を中心に地域で幅広く診ることができる」と述べ、かかりつけ医を交えた連携パスにすることを求めた。(10/24MEDIFAXより)