【適正化計画】第2期適正化計画、一律目標は示さず/厚労省が方針
2013年度から始まる第2期医療費適正化計画(5カ年計画)の基本方針について厚生労働省は、都道府県に対して一律の設定目標を示さない方針だ。各都道府県が地域の実情を踏まえて目標設定できるよう「ツール」を提供する。5月24日の社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で基本方針の改正を審議する予定だったが、時間が取れず先送りとなった。
都道府県医療費適正化計画の記載事項は11年8月に成立した地域主権改革一括法によって、必須記載事項である「医療費の見通し」以外の特定健診・保健指導実施目標や平均在院日数の短縮目標などを都道府県が任意に設定することになった。これを踏まえて厚労省は国の役割として目標設定の参考となる指標やデータ、考え方を都道府県に示す方向で医療費適正化基本方針を見直す。
現行計画で特定健診・保健指導の12年度目標は「特定健診実施率70%」「特定保健指導実施率45%」となっているが、特定健診・保健指導の効果を踏まえた上で新たな全国目標を示す考えだ。厚労省保険局総務課医療費適正化対策推進室が部会に提出した資料によると、現行の12年度目標で10%としているメタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率については、次期国民健康づくり運動プランに向けた全国目標の議論や、都道府県内の保険者の実績を踏まえて都道府県が目標を示すことになる。
また、介護療養病床の廃止が17年度末まで延期されたことなどを受けて、療養病床の数のみの目標設定は取りやめる。代わりに、医療計画の基準病床数とも整合性が取れた一般病床や療養病床などの適正病床数を都道府県が設定できるようになる。
次期基本方針では平均在院日数の目標も都道府県で設定できるようにする。厚労省は平均在院日数の推計に役立つツールを都道府県に配布する考えだ。
現基本方針では適正化策の取り組み例として重複頻回受診の是正や医療費通知の充実などを記載することになっている。これについても都道府県が地域の実情を考慮して目標を定め、施策を検討できるように、国は都道府県ごとの医療費や平均在院日数の要素分析、後発医薬品普及データなどの情報を提供する考えだ。
医療費推計については現行の平均在院日数の短縮効果に加えて、生活習慣病予防の効果を織り込むよう求める。
厚労省は6月中にも都道府県に基本方針案を示し、担当者向け説明会を開催する考えで、都道府県は年内にも医療費適正化計画を策定することになる。国は都道府県の計画を踏まえて年度内に全国医療費適正化計画を策定する。
10年度の実績(速報値)では、特定健診実施率は43.3%、特定保健指導実施率は13.7%だった。(5/25MEDIFAXより)