【費用対効果】QALYなど「効果」指標で議論開始/費用対効果専門部会  PDF

【費用対効果】QALYなど「効果」指標で議論開始/費用対効果専門部会

 中医協・費用対効果評価専門部会(部会長=関原健夫・日本対がん協会常務理事)は8月22日、費用対効果評価の運用手法について議論を始めた。厚生労働省保険局医療課は会合を含めて4回程度の議論で具体的な運用手法について議論する方針を示し、出席委員の合意を得た。会合では、QALY(質調整生存年)を含む効果指標の取り扱いについて議論し、日本版の費用対効果評価制度について議論を継続することについては出席委員の意見がおおむね一致した。

 部会は過去3回の会合で制度の基本的な考え方について議論し、対象技術や評価結果の活用についての原則を確認してきた。会合では医療課が今後の議論の進め方を示し、具体的な評価の運用手法について4回程度の会合で論点整理することを提案。「評価手法」「具体的な評価の活用手法」についてそれぞれ2回程度の会合を開く考えを示した。

 医療課は効果指標の基本的な考え方として▽一定の普遍性があり、多様な医療技術と比較できる評価指標を用いる▽原則として単一の指標を設定する(単一指標を補う手法の検討も必要)―との方向性を示した。効果指標に求める特徴については▽医療技術の効果の一部ではなく、全体を評価できる▽定量的で再現性・透明性が高い▽既存技術などと比較できる▽臨床試験などの実績に基づいた算出ができる―を提案した。これらの提案に強い反対はなかった。

●鈴木委員「反対ではない」も慎重姿勢
 会合では「効果指標の取り扱い」を議題に評価手法について検討を進めた。医療課は、効果指標の具体例として「QALY」「生存年」といった生存期間に関連する指標に加えて治癒率や臨床検査値を示し、それぞれの利点・欠点や諸外国の運用状況を説明した。

 嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)や安達秀樹委員(京都府医師会副会長)ら診療側委員は「日本版の費用対効果評価制度を作るべき」との意見を示した。支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「取りあえず日本版のQALYを作ることでよいのではないか」と述べた。 鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「制度化を進めようという意思を強く感じる」と慎重な姿勢を示した。ただ、鈴木委員は「(費用対効果評価に)反対しているのではない。やるならきちんと議論すべきだ」とも述べ、制度の全体像や制度の中でのガイドライン、系統的レビューの位置付けが明確でない段階で「QALYありき」の議論が先行することへの警戒を示した。

 これに対し医療課はガイドラインについては議論を進めている段階であることなどを説明し、「結論ありきでは決してない」と繰り返した。(8/23MEDIFAXより)

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