【費用対効果】費用対効果、国と臨床現場で議論進む/中医協と受保連  PDF

【費用対効果】費用対効果、国と臨床現場で議論進む/中医協と受保連

 日本でも医療技術の費用対効果について本格的な検討が始まった。中医協・費用対効果評価専門部会では、ルール作りをめぐって慎重論はあるものの、検討を進めるべきとの意見が大勢となっている。一方、医療の価値を医療従事者と患者の双方で議論し、必要な医療財源を考える「受療者医療保険学術連合会(受保連)」も動き出す。国の論議と臨床現場での論議が同時並行で進み出した。

●技術評価の判断目安に/鈴木医療課長
 費用対効果の検討を進める意義について厚生労働省保険局医療課の鈴木康裕課長は取材に対し「薬事法承認品目は一定程度以上の有効性、安全性が確立されているが、これまで費用対効果の検討は必ずしもされていない。費用対効果評価専門部会では、実際の効果に比べ評価が高すぎるモノや技術についてだけではなく、革新性が高いのに現行の枠組みの加算だけでは正当な評価を受けることができないモノについても、判断する際の一つの目安として費用対効果を検討してはどうかということが基本的な考え方だ」と述べた。

 検討に当たっては▽全てのモノや医療技術が対象ではない▽費用対効果評価だけで保険収載や価格を決定しない─というのが基本的な考え方。この基本認識について鈴木課長は「これまでの議論で共有化できたのではないか」とし、「共通の評価指標を作る上で、さまざまな意見を踏まえ、次回会合で議論を整理し、(再度、検討スケジュールなどを)提示したい」と述べた。

●受保連「医療価値を見える化」/大阪大・田倉教授
 一方、受保連は9月末までに設立総会を行う計画だ。副会長を務める大阪大の田倉智之教授は、取材に「患者と医療従事者が一緒になって臨床現場の目線で、患者が新たな医療技術や医療機関に適切な負担でアクセスできるよう、“医療の価値の見える化”の仕組みをつくっていきたい。そのためには限られた医療資源をできるだけ有効活用することが求められる」と述べた。

 その上で「社会経済的に意義の高い医療技術は、それに見合うだけの対価、負担を論じるべき。費用対効果や行動経済学などの手法も使って検討する。結果は医療関係者だけでなく、国民に広くメッセージとして発信したい」とした。

 受保連は患者系組織25団体(会員数約12万人)と医療従事者で構成。医療従事者は医師、看護師ら個人での参加が基本ルールだ。田倉教授は「検討結果は具体的なアクションとして全国の患者に伝達し、行動変容につなげたい」と述べた。(7/9MEDIFAXより)

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