【財政審】本体改定率、プラスにすべきでない/財政審、薬価財源は「不適当」  PDF

【財政審】本体改定率、プラスにすべきでない/財政審、薬価財源は「不適当」

 財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=吉川洋・東京大大学院教授)は10月21日から、次期診療報酬改定に向けて具体的な論点に踏み込んだ。会合では委員から「診療報酬本体の改定率をプラスにすべきではない」との意見が続出。本体プラス改定を容認する委員はいなかった。

 今回の財政審分科会は、次期診療報酬改定に向けて財務省が医療・介護費用の効率化メニューを列挙した形。これまで診療報酬改定の原資とされてきた薬価改定財源(市場実勢価格の反映)については「(薬価の)時点修正に過ぎないものを殊更に取り上げて、何らかの財源の捻出が行われたかのように見なすこと(ましてや財源が捻出されたとして、診療報酬本体を含む他の経費の増額を行うこと)は不適当であり、あり得ない」と牽制した。財務省は1990年度を基点とした場合、診療報酬本体の改定指数が賃金・消費者物価指数を上回っており、デフレ状況下でも上昇しているとの図表を提出。これに対して委員からは「診療報酬本体をプラス改定にする必要はない」との指摘が上がった。消費税率の引き上げ分を診療報酬財源に充てることにも反対意見が出された。

 また、財務省は2008−12年度の第1期医療費適正化計画で、厚生労働省が7000億円の適正化を見込んでいたことを取り上げ「厚労省はその後、何の検証も評価も行っていない」と問題視。「中期的な目標設定だけではなく、各年度でも確実に効果が見込める取り組みを行うことが重要ではないか」と指摘し、委員も同調した。病床機能分化も論点に上がり、委員から「7対1入院基本料を引き下げて、その範囲内で13対1や15対1を引き上げるなどの対応を取るべき」との指摘もあった。

 薬剤費をめぐっては、後発医薬品の普及率が目標に届かないことを踏まえて▽目標値の引き上げ▽達成時期の前倒し▽長期収載品の薬価大幅引き下げ―を求めた。また、一般用医薬品と同一成分の医療用医薬品である、いわゆる市販品類似薬についても取り上げ、「公的医療保険の対象から除外すべき」とした。フランスやドイツで保険償還価格を上回る薬剤費を患者が負担する制度が導入されていることも紹介した。

 調剤報酬も狙われた。財務省は09年度を基点とした場合、医科・歯科に比べて調剤技術料の伸び率が高いことや、大手8社調剤薬局チェーンの売上高が年々増加していることを引き合いに出し「調剤報酬体系の見直しが必要ではないか」とした。

 介護では、特別養護老人ホームなどの施設で内部留保が積み上がっていることを指摘し「設置主体である社会福祉法人の経営透明化」を掲げた。

 社会保障の各論は今回で終了。11月に報告書を取りまとめる前に、あらためて医療や介護について議論する見通しだ。(10/22MEDIFAXより)

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