【財政審】吉川分科会長、画一的な医療費削減は否定/財政審が報告書  PDF

【財政審】吉川分科会長、画一的な医療費削減は否定/財政審が報告書

 財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会(分科会長=吉川洋・東京大大学院教授)は5月27日、「財政健全化に向けた基本的考え方」をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。社会保障分野では、税との一体改革の中で、重点化・効率化を図るための新たな制度改革に踏み込むことが必要だと強調。医療・介護保険制度や医療・介護サービスの提供体制を改革する必要性にも言及したが、吉川分科会長は記者会見で、医療費に関する画一的な削減には否定的な見方を示した。

 医療・介護保険制度の改革については、社会保障制度改革国民会議で話題に上っている「軽度者に対する介護保険給付の見直し」「高額療養費制度の見直しや、一定病床数以上の一般病床における紹介のない外来受診への定額負担の導入」などについて、速やかな実現を図るべきだとした。

 医療・介護サービスの提供体制についても、国民会議で議論されている取り組みに言及。「医療計画上の病床規制(基準病床数の算定)を高度急性期・一般急性期・亜急性期といった新たな医療機能別にする」「医療機能の分化・連携のための医療機関の再編などができるよう、医療法人制度を見直す」などについて、検討が深まり、早急に制度化されていくことに期待感を示した。

 さらに、報告書では、医療・介護サービスの提供体制を改革する上での公費の追加手法に注文を付けた。「医療機能ごとの診療報酬の重点配分が所期の効果を発揮するためには、病院と診療所間の連携を含め、医療機能の分化・連携が一定程度進捗していることが前提とならなければならない」と強調した。

 麻生財務相への報告書提出を終え、記者会見した吉川氏は「医療については、病院と診療所の関係など見直さなければならないことはある。将来の医療提供体制にとって大変重要だ。こうした供給体制の改革に沿った形でお金を使っていく必要があるということを、かなり立ち入って(報告書に)書いてある。ただ単に医療費を削ることを書いてあるわけではない」と述べ、画一的な削減ではなく効率化が重要と説明した。

 財政運営の在り方については、報告書の中で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)について、2015年度までに対GDP比の赤字を10年度の水準から半減させる政府目標を、確実に達成することが不可欠だと強調。財政健全化を進めていく上では、歳出抑制や増税といった取り組みを避けて通ることはできないと訴えた。(5/28MEDIFAXより)

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