【財政審】「改革なくしてプラス改定なし」/財政審が報告書  PDF

【財政審】「改革なくしてプラス改定なし」/財政審が報告書

 財務省の財政制度等審議会財政制度分科会(「財政について聴く会」、会長=吉川洋・東京大大学院教授)は1月21日、「2013年度予算編成に向けた考え方」と題する報告書をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。医療提供体制の改革を進めることは必須とし、平均在院日数の減少などの効果が不確実なまま診療報酬を増額改定することはあり得ないと指摘。14年度改定に向け、プラス改定を強く牽制した。

 報告書は、財政運営の在り方と13年度予算編成での各歳出分野の基本的な考え方をまとめた。

 医療に関する当面の課題には、医療提供体制の重点化・効率化などを挙げた。一体改革で示した医療提供体制の改革について「診療報酬の重点配分を図るだけでは不十分」と明記。規制的な手法を組み合わせて病院・病床の機能分化を進めるなどの改革を強力に進めなければ「一体改革の意義は画餅に帰す」と迫り、「具体的な改革の見込みや、それによる平均在院日数の減少などの効果が不確実なまま診療報酬の増額改定をはじめとする公費の追加だけが行われることはあり得ない」とした。民主党政権下で行われた10年度と12年度の改定は「民間給与の改定率を大幅に上回る改定」と批判した。

 提出後の会見で、「増額改定があり得ない」という部分はネットと本体いずれを指すのかとの質問に対し、田近栄治会長代理(一橋大国際・公共政策大学院教授)は「そこまでの議論はしていないが、重要なのはエビデンスベースで改革の効果を見定めること」と回答。吉川会長も「医療提供体制の改革なしに、中医協で診療報酬を上げていくのは安易だ。改革すべきところは改革すべき」と補足した。

 医療の課題ではこのほか、70−74歳の自己負担を2割に戻すよう「直ちに取り組むべき」と記載。高齢者支援金は完全に総報酬割にすべきで「13年度予算編成でもこの方向性に沿った対応が求められる」とクギを刺した。

●参照価格制度も提言
 医療給付の重点化・効率化も課題に挙げた。高度医療を保険給付の対象にするかどうかの判断ルールを明確化することや、後発医薬品の使用促進などを挙げた。一部の医薬品の保険償還額を後発品に基づいて設定し、上回る部分は自己負担にする事実上の参照価格制度の必要性も盛り込んだ。薬剤により自己負担割合に差を設けることも記載。市販品類似薬を保険給付の対象から除外することは「診療報酬改定年に限らず不断に対応すべき」と主張した。生活保護の医療扶助では後発品の原則化などを提言している。(1/22MEDIFAXより)

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