【財務省】70−74歳の患者負担など「効率化」の議論本格化/財務省
財務省は10月15日の「財政について聴く会」(財政制度等審議会財政制度分科会の後継組織、会長=吉川洋・東京大大学院教授)で、社会保障・税一体改革に盛り込まれた社会保障の「効率化策」を確実に実施する必要性を訴えた。大きな論点として、70−74歳の患者負担見直しや、被用者保険の高齢者支援金に対する総報酬割の拡大などを提示。年末の予算編成に向け、社会保障費の扱いをめぐる議論が本格化した形だ。
●後発品促進や国保組合補助見直しも
一体改革では、2015年度に必要な公費の所要額を計算している。充実化として約3.8兆円を投じる一方、効率化策で約1.2兆円を捻出するという試算で、差し引き約2.7兆円だ。“効率化があった上での充実化”という観点から、財務省は「70−74歳の患者負担を2割に引き上げ」「総報酬割の拡大」のほか、「後発医薬品の促進と医薬品の患者負担見直し」「国保組合に対する国庫補助の見直し」の4点を、「一体改革大綱に盛り込まれた主な効率化策」として提示した。高齢者支援金の総報酬割は13年度予算編成に関係するほか、70−74歳の自己負担割合は12年度第一次補正予算案の策定に関係しており、早急な意思決定が必要となる。
●70−74歳「2割」が意見の大半
会合では70−74歳の患者負担を「ほぼ全員が2割にすべきという考えだった」(田近栄治会長代理=一橋大国際・公共政策大学院教授)という。ただ、欠席した委員が提出した意見書では、見直しについて「慎重な議論が必要」とするものもあったようだ。
後発品の使用促進では財務省が、後発品のある先発品が全て後発品に置き換わった場合の医療費への影響額を示した。医療費総額で1兆5300億円、国費ベースで4000億円の削減が可能というもので、後発品の促進に強い意欲を示した恰好だ。
●軽度者介護の給付見直しも
財務省は介護保険についても問題意識を示した。医療保険が順次自己負担割合を引き上げていることに対し、介護保険の自己負担割合は1割で推移している点について、負担割合の見直しを提案。軽度者介護の給付見直しなども指摘した。
会合では「重点化・効率化を前提に充実分の財源が確保されている。充実だけが先行することがないようにすべき」など、一体改革で示された効率化を着実に進展する必要性を示す意見が多く出た。総報酬割については、対象とする支援金の割合を拡大する財務省案に対し、健保組合の負担割合が増える観点から反対論も出たようだ。同会は11月末をめどに報告書をまとめる。(10/16MEDIFAXより)