【負担と給付】全社連・伊藤氏「保険医地域枠」提案/政治側は難色  PDF

【負担と給付】全社連・伊藤氏「保険医地域枠」提案/政治側は難色

 全国社会保険協会連合会の伊藤雅治理事長は10月25日、医療経済フォーラム・ジャパンのシンポジウムで、保険者機能の強化や医療保険の給付範囲の見直しを議論する時期に来ていると述べ、「保険医地域枠」の設定などを提案した。ただ、同じシンポジウムに出席した与野党議員らは難色を示した。

 伊藤氏は、保険者機能の強化によって医療提供体制の再構築ができると主張し、医療保険の都道府県単位化を進めるとともに、保険者と保険医療機関との契約を通じて医師の地域偏在・診療科偏在を是正できる「保険医地域枠」の導入を提案した。

 給付の見直しについては▽フリーアクセスの制限(紹介による病院外来受診、家庭医機能の定着)▽終末期医療への国民的合意形成▽評価療養・選定療養を含む混合診療の在り方▽保険免責制―について検討を始めていくべきではないかと述べた。

 シンポジウムで座長を務めた遠藤久夫・学習院大教授は「保険医地域枠」について、医師の強制配置ではないものの、病床数と同様に保険医数も規制できるのではないかという考えに基づく仕組みと解説した。

 「保険医地域枠」について自民党の鴨下一郎幹事長代理は、「理にかなった話とは思う」と一定の理解は示しながらも、医師の地域偏在・診療科偏在の是正はインセンティブを使って行うしかないとし、強制的な是正には否定的な見解を示した。鴨下氏は保険医を保険者が指定することになると、保険者のバーゲニングパワー(交渉力)を強めることになり、偏在是正の一つの方法にはなるがステークホルダーの調整は困難との見方を示した。

 仙谷由人・民主党副代表も社会的に大きな議論になりかねないとして難色を示した。

●総合医、「国民理解が課題」と坂口元厚労相
 一方、福井次矢・聖路加国際病院長は、「総合医」を養成して医療制度の中に組み込むことが医療の効率化につながると提案した。坂口力元厚生労働相(公明党副代表)は一定の理解を示しながらも、「国民の意識の中では(総合医よりも)専門医の方が上位にランクされており、どうやって国民に理解をしてもらえるかだ」と課題を示した。(10/26MEDIFAXより)

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