【警察医】警察医の全国組織、日医主導で発足へ/災害時検案の体制構築も  PDF

【警察医】警察医の全国組織、日医主導で発足へ/災害時検案の体制構築も

 日本医師会は2014年度、日本警察医会に代わる新たな全国組織を発足させる。警察に協力するための「連絡協議会」を日医の内部組織として設け、都道府県医師会と連携して検案業務に関する人材の確保や能力向上、大規模災害時の迅速な検案活動の実施を進める考え。日医の高杉敬久常任理事が取材に応じ、今後の取り組みを明らかにした。

 在宅医療の進展や長寿社会によって独居や身寄りのない高齢者の在宅死が確実に増えると見込まれるほか、犯罪行為の見逃しを防ぐ体制強化のための死因究明関連2法の施行によって、警察活動に協力する医師(いわゆる警察医)が担う役割は大きくなる。ただ、高まる社会的役割に対応するための受け皿組織は現段階で決して十分とはいえないのが現状で、国内唯一の警察医の全国組織である日本警察医会の会員数は伸びず、加盟する都道府県警察医会の数も20余りにとどまっている。若手の後継者不足や待遇面などの課題解決が強く求められているほか、大規模災害時の派遣体制づくりの側面からも確実な組織化が必要とされていることから、警察医会は発展的に解消し、日医がその代わりとなる組織の設置に乗り出すことになった。

 日医は今秋にも都道府県医師会の検案担当理事を集めて概要を説明する機会を設け、全国組織の発足に向けた準備を加速させる予定。14年度には日医内部に連絡協議会を発足させ、総会や学術集会を兼ねた大会の開催などをスタートさせるという。警察医を取り巻くさまざまな課題の解決にも力を入れるため、医師会や警察庁、厚労省、日本法医学会などの代表でつくる「業務検討委員会」の発足も予定している。高杉常任理事は「各地で警察医組織の形態が違う。それぞれの自主性を尊重しつつ、医師の質の担保と向上に努めたい。業務検討委では、検討した内容を提言できるようにしたい」と話す。

●研修会、基礎と上級で質向上へ
 日医は12年度から全国の医師や検案関係者を対象にした死体検案研修会を開催し、全ての医師が検案を確実に実施できる体制整備に取り組んでいる。新体制発足後はこれらの仕組みを踏襲する格好で基礎研修会(仮称)を開き、医師の基本技能としての一般知識の醸成を図る。国立保健医療科学院の「死体検案研修」を引き継いで上級研修会(仮称)も開き、日常的に検案を担当する医師の能力向上も目指すという。

 高杉常任理事は全ての医師にこれらの研修会への参加を促したい考えを明らかにした上で「警察医の社会的な役割が大きくなる中、医師の誰もが基礎的な知識を持っているようにしたい。義務的な参加までは求めるつもりはないが、できるだけ多くの人に参加してもらえるように周知していきたい」と話している。(8/19MEDIFAXより)

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