【諮問会議】「薬価財源」外しで厚労相が劣勢に/諮問会議で民間議員が要求  PDF

【諮問会議】「薬価財源」外しで厚労相が劣勢に/諮問会議で民間議員が要求

 経済財政諮問会議の民間議員は11月15日の会合で、薬価改定による財源を診療報酬改定の財源から切り離すべきだと提言した。民間議員と閣僚の議論でも「薬価財源」が焦点になり、田村憲久厚生労働相は、医療提供体制の改革には薬価財源が不可欠だとしたが、民間議員からの反撃を受け、劣勢に立たされている。安倍晋三首相は「民間議員から指摘があったように、診療報酬の在り方をはじめとして、自然増を含む社会保障の歳出の合理化・効率化に最大限取り組む必要がある」と述べた。

 安倍首相の発言など会議でのやりとりの様子は甘利明経済再生(一体改革)担当相が会見で説明した。民間議員は提出資料(民間議員ペーパー)で、薬価と診療報酬本体をネットとして一体的に要求している点を問題視。「薬価には市場実勢価格を反映し、診療報酬本体には必要な予算をそれぞれ要求し、透明性を確保すべき」として、薬価と診療報酬本体を切り離すよう求めた。

 これに対して田村厚労相も資料で応戦。「薬価財源を、薬価差を失う医療機関に単純に戻すのであれば『不適当』だが、薬価財源は救急、産科、小児科などに重点的に振り向けてきた」とし、「今回の改定で、医療機関の機能分化・連携、急性期後の受け皿の病床確保や在宅医療の充実の実現に向けて、医療提供体制を大きく変える必要があるが、薬価財源を使わなければ実現できない」と反論した。

 その後の議論では、田村厚労相が攻め立てられる場面が続いた。民間議員が「薬価の話は、答えはノーか?」と切り出すと、田村厚労相は「医療提供体制の充実・適正化を図りたい」と回答。これに対して安倍首相が「薬価を下げて、医療提供体制の適正化に使いたいと言うが、どう適正化に使うのか」とただした。その後、再び民間議員が「産科、小児科の充実などに薬価財源を利用して対応するというやり方自体が不適切だ。必要ならば独立させて要求すべき」と問い詰めると、田村厚労相は「必要な要求の出し方をしっかりとやっていきたい」と答えた。

●公立病院改革も俎上に
 公立病院改革も議題に上った。民間議員は、公立病院改革プラン(5カ年計画)を総務省と厚生労働省で成果評価し、地域医療ビジョンの策定に合わせて「新たな公立病院改革ガイドライン」を2014年度中に策定すべきだとした。この提案を踏まえて安倍首相は「公立病院の事務長は医療経営の専門家ではないことが多い。専門家を配置するという人事上の取り組みが重要ではないか」と発言。「公立病院もさらなる改革が重要。財務相、厚労相、総務相は年末の予算編成に向けて、さらに議論を深めてほしい」とまとめた。(11/18MEDIFAXより)

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