【諮問会議】「歳出に天井」も「一律抑制」は否定/諮問会議の民間議員
経済財政諮問会議の民間議員4人は4月22日の諮問会議に、「経済再生と財政健全化の両立を目指して」と題した資料(民間議員ペーパー)を連名で提出した。中長期の財政健全化への取り組み方として「マクロ的に歳出の天井を設けることなしに財政健全化は難しい」と指摘したが、「一律の機械的な歳出抑制」は否定。その上で「予算編成において経済成長の実現等の重要課題への重点化を行うとともに大胆なスクラップ・アンド・ビルドを行うことにより、メリハリの効いた財政に」と提言した。
会合後会見した甘利明経済財政担当相は「成長を支える分野、効率化が見込める分野などでメリハリが付いてくる形になろうかと思う」と述べた。「中期財政計画の策定までに少しずつ具体化してフォーカスを絞っていく。その過程に骨太方針がある」と説明。中期財政計画の策定時期は2013年7月の参院選後になるとの見通しを示し、6月にも取りまとめる予定の骨太方針とは「時期的に少しタイムラグが生じると思う」と述べた。
安倍晋三総理は諮問会議で「骨太方針には経済再生の道筋と合わせ、各歳出分野の取り組みなど、財政健全化の基本的方向を盛り込んでほしい」と求めた。民需主導の持続的成長と財政健全化の両立が重要課題とした上で、18−19日にワシントンで開かれた「20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議」でも「財政の持続可能性を維持することの重要性について確認された」と強調した。
●社会保障と財政健全性は「表裏一体」/民間議員
22日の民間議員ペーパーでは、財政健全化策に重要な観点として、社会保障と財政の健全性が表裏一体の関係にあると指摘。「社会保障の持続性を維持するためには、財政の健全性を確保することが不可欠」とした上で、「社会保障の改革を継続していくことが、財政の健全性を維持することにつながる」と強調した。
このほか「財政健全化に向けた各歳出分野の考え方」として、「社会保障関係費についても、効率化・重点化の徹底を通じて抑制を検討すべき」と明記。医療・介護関係では▽給付と負担両面における世代間および世代内バランスの適正化▽健康の維持増進▽医療・介護サービス提供体制の重点化・効率化▽電子レセプトの活用等による医療・介護給付の重点化▽外来受診の適正化、後発医薬品の使用促進等▽健保組合等の医療情報の活用による保険者機能の強化─の6項目を挙げた。(4/23MEDIFAXより)