【規制緩和】医療は公共部門が行う方が効率良い/米・スティグリッツ氏  PDF

【規制緩和】医療は公共部門が行う方が効率良い/米・スティグリッツ氏

 米国の著名な経済学者であるジョセフ・スティグリッツ氏(コロンビア大)が5月30日、内閣府経済社会総合研究所の主催するESRI国際コンファレンスのため来日し、「公共部門の行う医療の方が民間部門よりも効率性が高い」と述べ、日本の増税による社会保障の充実に理解を示した。

 スティグリッツ氏は「米国では民間部門が担っている医療の効率が悪いため、負担が多くなっている。公的医療制度のフランスはGDPの11%が税ベースの医療費だが、米国よりもアウトカムが高い。国が行う社会保障の方が効率性が高いのは、民間部門よりも問題への対応力があり、取引コストも低くできる可能性があるからだ」と述べた。

●「TPPは透明性がない」と警鐘
 シンポジウムに同席した日本のエコノミストらが環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を前向きに捉える発言をする中で、スティグリッツ氏は参加に警鐘を鳴らした。日本はグローバル化を進める必要があるとしながらも「TPPは自由貿易協定ではなく、透明性がない。薬へのアクセスが難しくなる」と述べた。

 スティグリッツ氏は2001年に「情報の経済学」を築き上げた貢献により、ノーベル経済学賞を受賞。07年からの世界金融危機を予言したことでも知られ、米国の格差問題などに関する著作も多い。(5/31MEDIFAXより)

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