【規制改革】非営利ホールディング創設へ検討開始/厚労省検討会、14年内に結論
複数の医療法人や社会福祉法人の一体的な経営を可能にする仕組みとして、政府の産業競争力会議が提案している「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」について、厚生労働省は4月2日の「医療法人の事業展開等に関する検討会」で、2014年内に結論を出すとの方針をあらためて示した。具体的な内容については必要な調査などを実施した後、厚労省がたたき台をまとめ、同検討会に示した上で議論を求めるとの計画も明らかにした。
厚労省は会合に、産業競争力会議での検討状況や論点を示した上で、検討の方向性として▽社会に対してどのように貢献していくのか明確化した「理念」を共有する▽理念を実現するための意思決定を共有する▽意思決定を実現するためにヒト・モノ・カネを有効活用できるようにする―の3点を示した。「医療法人の形態の一つ、連携を取るための選択肢の一つとなり得るのであれば認めてはどうかということで検討したい」との見解も示した。
●本当に必要なのか?
新法人形態に異論相次ぐ
委員からは、必要性や利点が不明確であるとの意見や、医療提供体制を改革するために必要な対応策の議論がないままに医療法人の新しい形態をつくることだけが目的化している議論には賛成できないとの意見が続出した。
今村定臣委員(日本医師会常任理事)は「ホールディングに銀行がついて資金提供できるようになれば、企業による医療法人の経営だ」と指摘し、産業競争力会議での議論は地域密着型の医療提供体制とかけ離れた考えだと批判。「営利の『持ち株会社』を想起させる名称自体、地域医療に携わっている者として違和感がある」と述べ、名称の変更が必要とも訴えた。
山崎學委員(日本精神科病院協会長)は「税制が異なる医療法人が1つになった場合の税制がどうなるのかや、決算の仕方、(医療法人と密接に関係して医療系サービスを提供する)MS法人との関係が不明確」と指摘。「人材の有効活用でも、医療と介護で報酬体系が異なる点が障壁になる。経営効率化にはならない」との認識も示した。
西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「皆保険制度を維持し、改革にも対応しなければならないという目的を達成する唯一の手段なのか」と疑問を呈した上で、「他の形では駄目なのかというような議論が抜けている。形をどうするかの議論だけになってしまっている」と述べ、根本的な議論を優先させるべきと主張。大道道大委員(日本病院会副会長)も、医療機関の連携や効率化がなかなか進まないのは医療法人の経営が、厳しい規制の中にあるためと指摘した上で、「そういう(障壁となっているような)規制を挙げて解決する方が本筋」と強調。「既に力のある法人が事業を広げる場合は有利だと思うが、病院団体としては違和感がある」と述べた。(4/3MEDIFAXより)