【規制改革】検討候補に保険外併用療養の拡大も/規制改革会議、医療WG設置
政府の規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)は2月15日の会合で、下部組織に「健康・医療」など4つのワーキンググループ(WG)の設置を決めた。WGの具体的な検討項目は次回の規制改革会議で決定するが、会合では過去に提起された課題として、健康・医療分野で13項目が紹介された。保険外併用療養の範囲拡大や、レセプトなど医療データの利活用促進が入っている。6月をめどに提言をまとめ、政府が策定する成長戦略への反映を目指す。
●「混合診療の全面解禁」ではなく
保険外併用療養のさらなる範囲拡大では、薬剤を用いない医療技術や再生医療など、先進的な医療技術全般にまで範囲を拡大すべきとしており、「混合診療の全面解禁」といった表現は用いていない。終了後に会見した岡議長によると、この部分についての議論はなかったという。
ほかに示した課題にも、すでに解決への道筋が付きつつあるものが多い。「再生医療の推進」では、細胞加工の外部委託を可能にするとあるが、これは厚生労働省が今国会に提出を検討している再生医療の新法に盛り込まれる。「医療機器の承認業務の民間開放の推進」も薬事法改正案で対応される見込みだ。「一般用医薬品のインターネット等販売規制の見直し」も、最高裁の判決を受け、すでに厚生労働省がネット販売のルール作りに着手している。
ほかには、レセプト情報を一元化したデータベースを医師会や保険者など第三者が幅広く利用できるようにする「レセプト等医療データの利活用促進」や、対面診療よりも低い診療報酬を見直す「遠隔診療の普及」のほか、「処方箋の電子化」「医療機関での各種文書の紙媒体による保管の不要化」などがある。
●治験前データの承認申請活用も
医薬品関連では「治験前臨床試験の有効活用」があり、治験開始前のデータを一定の条件下で承認申請に使えるようにすることを打ち出している。GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)に基づかない臨床研究・試験のデータを承認申請資料に活用することは長年の課題といえる。
会合では森下竜一委員(大阪大大学院医学系研究科教授)が資料を提出し、希少疾病用医薬品の開発振興制度を拡充することや、代替可能な医療技術の費用を算定根拠にするなどの新たな薬価算定方式の必要性を指摘した。
次回の規制改革会議は2月中にも開き、15日に示された過去の課題や、森下委員が示した課題などからさらに絞り込み、WGの検討課題を決める。WGでは扱わないが規制改革会議本体で検討を進めるテーマも次回会合で決める予定。(2/18MEDIFAXより)